白い、

□プロローグ
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ジリジリと音は聞こえずともそれを感じる午後1時51分。
外に居ても室内に居ても暑いだろうと考え真面目に授業を受けている。我ながら拍手物だ
でも、よくよく考えたら40人近くが1つの部屋に集まっている所に居る方が暑いよな、と少し後悔しながら教師の話しを聞き流す

授業終了まで携帯でも弄ろうとと机の横にある鞄を取ろうと手を伸ばすも空振る
一瞬だけ背筋が凍る
俺鞄どこにやったっけ家?いやそんな訳ない。それなら目の前にあるこの勉強道具達は一体どこから出てきたんだ
空振ったのが信じられなくて身体を少しよじり机の横を覗いてみる
―――ない。


「おい、大森」

「!」

「さっきから当ててるだろ早く読め」


当てられてたのか。急いで教科書を持ちページを開く
場所が分からず隣の女子に耳打ちする。今まで話した事無かったけどそんなの知るか
噛みながらも何とか読み上げる。なんだよシチュエーションって。読みづれぇ
読み終え、ふぅ、と一息着く
あぁそうだ鞄
そう思ったとほぼ同時にチャイムが鳴った


「牧ー。次の体育さぁ、」

「サボる」


授業終了すぐに話しかけてきた石田に恐らく答えになっていないだろう言葉を投げる
するとパァっと顔を輝かせた。何だコイツ


「お、まじ?じゃあ体操着貸して」

「…いいけど、ロッカーにあるから来い」


貸してって…、俺がサボらなかったらどうする気だったんだコイツは
後ろからテコテコ着いてくる石田を振り返り軽く睨んでみる
それに気付いたのか「何々どうしたのー」と気の抜ける声を出した
やっぱり貸すのは止めようか

ロッカーに着きガコンと扉を開ける
すると大きな黒い塊が転がり落ちてきた


「あ」

「んお?」


そうだ、鞄は昼休みの時にロッカーにブチ込んだんだった
ほっとして鞄を一撫でする。大したものは入ってないが安心した。いや携帯が入っていたか
ついでに体操着を出して石田に投げる


「お前体育何すんの」

「外でサッカー」

「……」

「大丈夫大丈夫。てきとーにスプレーかけて返すから」


さんきゅーな!と言うと大事そうに抱えて更衣室へ走っていった
その背中を少しだけ見送り自分も歩きだす
何処へ行こうかと考えを巡らせる

図書室にでも行くか。あそこならクーラー効いてるしこの時間なら司書の教師は居ないはず
そう決めてさっき来た道を戻り階段を上がった





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