にじいろ
□1%の無限の可能性
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Side れもん
「やあ、いちご!何時見ても可愛いね!!」
リックの女の子への態度はいつだってこうなの。
だから、気にしない。
気に…してない。
1%の無限の可能性
ニューヨークにやってきた私たち4人はまっすぐに天王寺さんのショップへと向かう。
「どんなショップだろうねぇ♪…どんなスイーツと出会えるんだろうね〜!考えただけで…えへへ♪」
「天野、わかってんのか?今回は勉強にきてるんだからな?浮かれてる場合かよ…」
「全くお堅いぜ、真は」
「………」
先輩たちはワイワイと盛り上がる中、私はある人のことを考えていた。
そう、噂ではニューヨークのショップにいると聞いている彼のことを。
「…どうしたの?れもんちゃん」
ふいに声をかけられ、私は慌てて笑顔を作った。
「いえ、なんでも…」
「あ、そういえばニューヨークに友達がいるんだっけ?」
「はい。先輩もパリで会ってますよ」
「え!本当に?」
「クララです、チームメイトだった。…今、こっちで勉強してるんです。彼女、留学マニアで。これで三校目なんです…次はアンドラに行くんだって息まいてますよ」
「あはは!すごいんだねぇ!!」
クララはチームが解散してから留学ばかりだけど、文通は続いている。イギリスに戻ってショップを開いたエリザベスとも。
私が日本に戻ってから本格的に始めた、チームメイトとの文通。
けれど、リーダーだったリックだけは連絡がつかなかった。
数ヶ月前まではフランス校にいたのは確かだ。でも、今はいない。
行って調べたわけではない。そこまで彼と親しかったわけではない。
私が、リックがフランスにいないと知ったのはクララとの文通だった。
“天王寺さんのプロデュースするスイーツショップにいるらしいよ”
その一文だけで、実はショップがニューヨークにあるのだということも先輩達の会話でしったわけで…。
「あ、天王寺さん!」
いつの間にか天王寺さんのショップの前まで来ていた。久々の再会に歓びに沸き上がる場。
「Oh!なんてBeautifulなんだ!!」
そして別な意味で盛り上がるジョニー。ははは…天王寺さん、完全にひいてるよ…。ジョニー式挨拶であるお姫様だっこを眺めながら、なんとなくその姿がリックと重なった。
ガチャリ…
重厚なドアの音が聞こえ、振り返るとそこには懐かしい彼が立っていた。
一瞬、目が合ってニコリと微笑まれると何だかホッとした。