にじいろ
□苦いミルクレープ
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side 樫野
「樫野、今日転入生来るらしいよ?」
寮の部屋を出るとき、同室の花房から告げられる。前々から噂は聞いていた。
アンリ・リュカスが直々にスカウトした秀逸が来るらしい噂―――…。
でも、それが男なのか女なのかも正直わかっていなかった。だから、俺はただ単に『アンリ先生の目に留まるほどの優秀な奴』がくるのだとばかり思い、沸々とライバル意識を高めていたのだ。
「どうやら、それが女の子らしいんだよ?…アンリ先生のお墨付きの女の子だ、もちろんAグループに入ると思うし、楽しみだよね」
「女か…。」
なんだか、一気にライバル意識が一気に薄れる。
女は苦手だ。
煩いし、すぐ感情的になるから面倒だ。
菓子作りのプロは実は男のほうが多い。
まあ、この学園は半々だが…。俺や花房や安堂がAグループに居ることをとってもやはり女よりも男のほうが優れている。
つまり―…本当に優秀な奴…ってことなんだろうか。
「ふんっ…おもしれぇ…」
「へぇ…女の子に興味持つなんて珍しいね」
「は?…アンリ先生のお墨付きなんだろ?そんな奴がくるんだ…女だろうが男だろうが、俺は負けられないからな!」
「はいはい。レディには優しくしないとだめだよ?」
そういうと「おはよう。今日も綺麗だね?」と先に教室へ踏み出していく(女に声をかける)花房。
俺は転入生に会うまでライバル心を燃やし続けていた。