お題

□09提出し忘れたプリント
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「あー、ねぇ、麻衣」


「何」


「志望校決めた?」


「んー微妙」


「マジで?私らもう卒業だよ」


「知ってるよ。もうじき個別相談会じゃん」


「え、うん」


「そんとき担任と相談する」


「あぁ…。げ、それまでに数学単元テストあるんだ。一護に教えてもらお」



あーあー。憂鬱だな。志望校=受験=卒業じゃん。うわあ、卒業イヤだ


そもそも麻衣頭いいじゃん、そのへんなら少し勉強すればどこへでも行けるよ。


卒業したらさ、私、高校行くんだよね。


そしたらどうするんだろ。


ホントに今までボヤボヤ過ごしてきたからなあ…。


つか、卒業できんのかな。いや、義務教育だけども。


あーダメだぁ。憂鬱すぎる。




――――――
―――――――
――――――――……


「えー、じゃあこのプリントを今週内に提出するように」



なんだなんだ。って進路希望か。


うわ…普通科でもこんないっぱい高校あるのかぁ。でも多分私は此処の高等部受験すると思うな。


誰かそれ以外受験する人いるのかな



「紗希〜。お前高等部行くだろ?」


「行く行く」



恋次が後ろからつついてくる。



「恋次もでしょ?」


「あたり前じゃんか。他なんて頭良すぎて行けねえよ」


「…うん、だよね」


「…どうしたんだよ紗希」


「へ」


「考え事か?お前は俺より頭いいんだから、大丈夫だって!まぁ、それも今のうちだけどな」


「一言余計だよ恋次。あ、ねーっ、一護!」


「ん?」


「一護ももっちろん高等部だよね」


「あぁ…その事だけどよ、紗希」



なにこのベタな展開、なんてツッこむいつもの私は居なかった。



「俺、ウチの高等部は受けないつもりでいるんだ」


「……へ」


「俺…親父の職業継ぐつもりでいるから…って、今の俺が言っても、なんも説得力ねぇけど…」


「…」


「俺…頑張りてえんだ」


「…な…で…」


「え?」


「なんで…いつも一緒だったじゃん…、なんで急に…今まで…そんなこと……」


「……、紗希」


「……行かないでなんて言えないけど…取り残される私たちの気持ちも考えてよ…」


「…わりい、けど…」


「ごめん、私、帰る。変なこと言ってごめん。頑張ってね」






なんでだろ、作り笑いが引きつった。







結局提出期限を過ぎた進路希望調査。


高等部に行こうと思っているのにペンが進まなかった。




10ヘツヅク


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