捧げ夢&頂き物

□たくさんのありがとうを君に・・・・・
1ページ/7ページ


たくさんのありがとうを君に・・・・・





















「しししっ。今日の任務おーわりっ。」




いつまでも降り続く雨。



そこに立つ王子――――――。



ベルフェ・ゴールは本日の任務を終えたところだった。



「さーてと。王子は帰るか。」



パシャ。パシャ。パシャ。―――――――。



ベルの背後から足音が聞こえてくる。



そして、その足音は突然途絶える。



「しししっ。取り残した敵ぃ〜?」



ベルは、興味本意で足音のした方へ足を進める。



「!?」



ベルが立ち止まるとベルより少し年下の少女が木にもたれかかるように座っていた。



少女が着ている服には、大量の血が付着していた。



(なぁ〜んだ。敵じゃないなら王子かえろー。)



少女を無視して帰ろうとするが体が動かないベル。



いつもだったら、見捨てることができるのに、できずにいるベル。



ベルの頭から離れない、少女の苦しそうな顔。



ベルは、暗殺部隊だということを忘れ、少女を抱いて歩き出す。



「!?」



少女は驚いた顔をするが、ベルの迷いのない眼差しが少女を安心させ優しい笑みを浮かべる。



「しししっ。王子は、お前をころさねぇよ。王子優しいから。」



少女に笑いかけるベルの顔は、いつも敵に向ける不敵な笑みではなく、ベルなりの優しい笑みだった。



数分後。ベルやザンザスたちのいるヴァリアー城につく。



ベルが真っ先にいったのが治療室。



「しししっ。この仔のちりょーしておいてね。」



ドサッと少女を治療台の上におろすと少女に笑いかけ、部屋に向かった。





「ふゎ〜。王子ヒマーーーー。」



着替え、お風呂に入りおわるとベッドの上に伸びる。



「マーモンいないからつまんないんだよなー。」



「しししっ」と言いながらナイフをキラーンと光らせる。



―――――コンコン。



「しししっ。入っていいよー。」



「少女の治療が終わりました。」



「で、怪我は大丈夫だったの?」



「血は、返り血だったものの、マフィアの抗争から何日も食べていなかったみたいだったので栄養剤をうちました。」



「しししっ。ごくろーさん。」



「それと。」



「しししっ。まだあんの?」



「それが――――――――――。」



「!?」



ベルは、飛び起き治療室にいる少女のもとへ向かう。



――――――――マフィア間の抗争で大切な人を亡くし声があまりでなくなっています。



バンッ!!



ベルは少女のいる部屋のドアを勢いよくあける。



少女はびっくりしたものの、ベルだと分かると笑って返した。



「おっ・・・・・・・。おまっ・・・・・・・・・。」



「あ・・・・・・・っ・・・・・・・っ」



一生懸命に声を出そうとするが声が出ない。



少女の近くにはペンとノートがおいてあった。



ベルは、その2つを手に取り少女に渡す。



「しししっ。それに、名前といいたいことかいて。」



「コクリ」



ベルに渡されたノートを開きさらさらとペンを走らせる。



書き終わるとその、ノートをベルに見せる。



『私は名前といいます。13歳です。助けて下さりありがとうございます。あなたの名前は??』



「しししっ。オレの名前はベルフェ・ゴール。ベルでいいよ。ちなみにオレは16歳。名前の3つ上♪」



突然、寂しそうな顔をする名前。



「しししっ。なにかあったの?」



ノートに書き始める。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ