短編や企画作品

□栞
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「しゅくにー!」


スクアーロの部屋に響くしたったらずの子供特有の声。


「どうしたんだ。咲。」


ポフンという効果音がつく勢いでスクアーロに飛びつく咲。


「あのねあのね。」


瞳を輝かせながらスクアーロに話し始める。


「しゅくにーに、ぷれぜんと。」


恐らく、ウ゛ァリアー邸の庭で取ってきたであろう花。


「きょーって、しゅくにーのおたんじょうびなんでしょ。るっしゅがいってたー。」


咲の手に握られている花を、スクアーロの手に渡される。


「咲。ありがとなぁ。」


義手ではない生身の手で咲を抱き上げる。


スクアーロに抱き上げられたことにより、キャッキャと喜ぶ咲。




−−パチッ


「夢・・・・か。」


数年前の今日。


3月13日の日の夢を見ていた咲。


「プレゼント・・・・・か・・・・。」


ベッドの上をゴロゴロと転がり始める。


スクにーに、渡すプレゼントは用意してある。


でも、昨日喧嘩したんだっけ。


あんなことで、喧嘩したなんて笑える。


取り合えず朝ご飯という時間ではないがダイニングに行こうと、体を起こす。


きっと、食パンくらいはあるだろう。


長い廊下を歩いて行き、ダイニングのドアを開ける。


「咲。遅かったわね〜。」


グッドタイミングといっていいくらいのタイミングで出て来たルッス。


「ルッス姐。それって?」


「嫌ねぇ〜。今日はスクちゃんの誕生日でしょう。」


あ、小さい頃もルッス姐とこんな会話したっけ。








「るっしゅー。きょーは、なんでけーきつくってるのぉー?」

「咲。今日は、スクちゃんの誕生日なのよー。」

「それほんとお?」

「そうよ〜。」

「それじゃあ、おはなとってしゅくにーにぷれぜんとするー」










「咲。早くスクちゃんと仲直りしちゃいなさいよ〜。」


「あ、うん。」


小さい頃を思い出しながら食べていると、開いたドア。


「「あ、」」


ドアを開けて入ってきた人物・・・スクアーロと言葉が被る。


「咲。今起きたのか?」


「・・・・うん。」


二人の間に微妙な空気が流れる。


できれば、この場から逃げ出したい。


「スクにー。」


「なんだ。」


「ごめんなさい。」


「俺も悪かった。」


以外とすんなり仲直り出来た二人。


「スクにー。プレゼント。」


咲のポケットから出て来た小さな栞。


「この花・・・・・。咲、また庭の取って来やがったな。」


「いーじゃん。その前にザンにーに許可は取ってあるから。」


淡い色の花で統一された栞。


お互いが強調しあうことなく配色されており、スクアーロも数年前のことを思い出しながら口元に笑みを浮かべる。


「変?」


「いいや。むしろ、咲が小さい頃を思い出せるから平気だぞぉ゛」










(スクにー。だいすきー。)


2011/03/13

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