短編や企画作品

□桜ロック
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「会いたくて恋しくて離れて・・・・・。」


桜の木の下である曲を口ずさむ。


前までは、隣に綱吉と雲雀さんが居て笑っていられたのに
今は綱吉が居ない。


ねぇ、どうして綱吉は私を置いて逝ってしまったの?
どうして?ずっと一緒に居るって言ったのに。
重い女って思われるかもしれないけど、どうしてなの?


「どうして・・・・・・。綱吉・・・・・。」


ポタポタと咲の頬を伝った涙。


今は、桜を見るだけで綱吉を思い出すから辛いだけだよ。


「咲・・・・・・。」


咲の前に現れたのは雲雀で、
泣いている咲の前にしゃがむ。


「また、泣いていたのかい。」


「・・・・・だって。」


雲雀はスーツの袖で、そっと咲の涙をぬぐう。


「雲雀さん。スーツ汚くなりますよ。」


「咲が泣かなければいいじゃないかい。」


それはごもっともです。


フッと頬を緩めて笑う雲雀。


「咲。綱吉から手紙を預かってたんだ。」


スーツの内ポケットから取り出した手紙を咲に渡す。


「ありがとう・・・・・雲雀さん。」


渡された手紙を読み始める。





咲ちゃんへ

この手紙を読んでいるってことは、俺はもう死んでいるってことだね。

本当は、咲ちゃんの傍にずっといてあげたかったんだけどな。

こう考えると俺、咲ちゃんを泣かしてばっかいるね。

泣かせるつもりはないんだけど・・・・・。ごめんね・・・・。

俺の最後の我侭聞いてくれるかな?

あの写真。雲雀さんも一緒に写ってる写真。

あの写真でとった桜の木の下でまた笑っててくれないかな?

俺、咲ちゃんの笑った顔好きだから。




どうか・・・・・咲ちゃんだけでも幸せになって。

俺は天国でも咲ちゃんを愛してる。


Ti amo     
         沢田綱吉


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