捧げ夢&頂き物
□それでも愛し続けてしまう
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―バタン
玄関の扉が閉まる音が聞こえる。
たまには外に出たい。
ずっとベルの部屋から出ていないので外の景色を眺めたくなった名前。
(長期任務だし、少しくらい平気だよね?)
こんな甘い考えが通用するはずがない。と気づくのは外に出てから気づくことになる。
もともと同じヴァリアーの幹部だったため部屋の窓から飛び降りることは普通に出来る。
部屋の窓から飛び降り近くの芝生まで足を進める。
「空気が。気持ちいい。」
久しぶりに外に出たためか、周りの気配など忘れていた名前。
―もう少し早くベルの気配に気づくことが出来たのなら・・・・・。
「ねぇ。俺さ、外に出るなって言ったんだけど。なんで、名前さ此処にいるん。」
「ベッ・・・・・ベル・・・・・。」
ベルに気がつかれ、顔が引きつる。
「ねぇ、まだ王子のことスキになってくれないの?」
「・・・・・。」
しばらくベルと一緒に居て、最初は殴られたりされるのかと思ってた。
でもそんな一抹の不安は無駄に終わり、逆にベルはわたしのコト優しくしてくれた。
外には出させてくれなかったけど、必要なものは買ってきてくれた。
「ねぇどうやったら名前は王子のものになるん?」
ベルにかけられた言葉と同時に頬から流れる血。
「名前さ。こうやって傷つかないと分からないわけ?それとも、王子に名前が傷つければ気が済むのかよ。」
震えて座っている名前の手に、自身のナイフを握らせる。
「これで、王子を傷つければいいじゃん。そうすれば、名前が苦しむ必要がないんだろ。」
そして、その手を自身の首下にギリギリまで近づける。
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