短編や企画作品
□素直じゃない委員長
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ペンの走る音だけが響く応接室。
−−−−コンコン
「入りなよ。」
「失礼します?」
怖ず怖ずと入っていく咲。
「自分から来ておいて、なんで疑問形なのさ。」
「授業サボりにきたから、恭弥がトンファー出して噛み殺すかな〜って思ったから。」
サボりという言葉に妙に反応する恭弥。
「な、なによ。」
「ふぅん。咲はそんなに噛み殺されたいんだ。」
チャキっと音を発ててトンファーを出す恭弥。
「恭弥は素直じゃないんだから。本当は、此処に居てほしいんじゃないの?」
「そんなわけ在るはずがないじゃないか。」
咲に図星を突かれたのか、咲に背を向ける恭弥。
「本当は、図星なんじゃないの。恭弥が普段そんな行動しないじゃん。」
「なに?僕だって人間なんだからこんな行動だってするさ。」
「分かってるけどさ〜。」
「何?まだ何かあるの?」
咲の方に体を向ける恭弥。
「たまには素直になったらってこと!」
恭弥の口に人差し指をおき言う咲。
「素直になんないと、逃げちゃうかもね。」
そう言い捨て、咲は応接室を出て行った。
「言われなくても分かってるから。」
咲が出て行った応接室に響いたのは、恭弥の独り言だった。
素直じゃない委員長
私の前くらい素直でもいいじゃない。