文
□孫鼠+少年
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「アイス食べる?」
彼の足に跨がりそう言うと、何故か戸惑っているようで。
「食べていいよ」
もう一度促すとボクとアイスを交互に見て、ありがとうと言った。
先端を彼に向けて口を開けてみせるとボクの意図を読み取ってくれたらしい。
「棒のところ、ベタベタしてるからボクが食べさせてあげる」
わざとらしい笑みを浮かべて彼の口内へと突っ込んだ。
舌の動きに合わせるように棒を上下に動かせばリップ音を出して吸い付いてくる。
「少しは涼しくなった?」
「ん……、」
思うように食べられない苦しさと他の人に食べさせられている羞恥に歪む彼の顔はボクの悪戯心を煽るのには十分だった。
「ねぇ、」
顔を近づけると伏せられた瞳がボクを映す。
それも一瞬のことで、すぐに目が閉じられた。
彼に気付かれないように小さく笑う。
本当に、可愛い人だ。
ボクがキスするとでも思ってくれたんだろうか?
すぼめられたキミの唇が溶かすアイスを齧る。
「今日の夜も暑くなりそうだね」
舌についた汁を舐めとると甘い味がした。
全部溶けるまでそう時間はかからなそうだ。
.Fin→後書き