文
□孫鼠→少年
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「BOYおにーちゃーんっ!」
彼が自分の部屋の扉を閉める前に彼の懐に飛び込んだ。温かいぬくもりと彼の匂いはとても心地良い。
「ジェームスっ…!」
出ていってと言おうとしたのだろうが、キャサリンおばちゃんがすぐそこまで来ていることに気付き彼はおもいっきり扉を閉めて鍵を掛ける。その後にばたばたと遅れて足音がやってきた。
『部屋に逃げ込んだのね!? 今度見つけたらただじゃ済まさないわよ!!』
バン!と扉を叩き、キャサリンおばちゃんは診療室に戻っていく。
上を見上げると彼はまだ扉の方を見つめていて、暫くしてからやっと安心したのか小さくため息を吐いた。彼が自然にボクと身体を離す。少し名残惜しかったが、また抱きつくとまるでボクが彼に依存しているみたいで嫌だったので素直に離れた。
「酷い目に遭った…ッ、」
彼はよろめいてベッドに倒れ込んだ。その拍子に彼の瞼を前髪が撫でていく…。
「そうかな。 ボクは面白かったけどね…ニヒ、」
「ジェームスだけだよ、あれで面白いと思ったのは。」
顔だけをボクの方に向け彼は少し眉間にシワを寄せ、困ったような顔をする。
「あんなイタズラとかじゃなくて他の面白い遊びを見つければいいじゃないか。 それだったら僕だって──」
「ヤ〜だよ!」
彼の言葉を遮り腹に馬乗りした。それからゆっくりと枕の横に手をついて彼を見下ろす。
「ボクは君の困った顔や怖がってる顔が大好きなんだ。 見てて面白いし、可愛いと思えるから何度も君にイタズラしてるんだ。」
だから、とボクは一呼吸置いて彼の朱に染まった頬を撫でながら囁いた。
──もっともっと、ボクを楽しませてね
.Fin