文
□蝋燭×死体
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「シェフすごく美味しいよ〜……料理…。」
「それは俺が作った料理じゃない…。」
屍はとっくにシェフの料理を平らげ今は用意されたワインを飲んでいる。シェフのお気に入りのボトルを持ってきたのだが彼には強すぎたようでずっとこんな調子で会話が続いていた。
「そんな謙遜するなんてらしくないな〜! こんな美味い料理君以外作れないじゃないか、っと! …?シェフもう注いじゃったよ?」
「酒はこれで最後にしろ。」
屍からボトルを奪うと彼は立ち上がってシェフの肩に腕を乗せる。
「なんだよも〜! 酒飲みたいなら素直に言って欲しいなぁ。ほら僕のグラスでよければ飲んでよ…。」
「…飲み過ぎだ。」
いよいよ絡み酒になったのでボトルと彼のグラスをテーブルに置き引き摺るようにして食堂から出た。
「え〜…まだ飲み足りないよ……。」
「黙れ。」
肩を組み直し階段を上ろうとしたが、屍がふらついて段に強く膝をぶつける。余程強く打ったのか鈍い音が聞こえたような気がした。
「あ〜なんか…ひびが入ったかな……。」
あまり痛そうにしていないのは酒が入っているからだろうか。彼がこれぐらいの事で身体を痛めるのはよくあることだった。…相変わらず面倒な身体だ。
シェフは屍を抱き上げ階段を上がっていく。干からびているだけあって軽いものだ。
「はは…シェフに姫抱きされてる。」
だけど絡んでくると前が見えにくくて仕方なかった。
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