□蝋燭×死体
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月のない夜、外は闇に包まれ風が吹いていない静かな時──グレゴリーハウスの食堂に珍しい来訪者が来ていた。

「シェフ料理作って〜。急に食べたくなったんだよ…ック、」

扉から一番近い椅子に座り頬を赤く染めた干からびた死体が目を虚ろにしてへらへらと笑っている。完全に酔っぱらっている状態だった…。
それでも地獄のシェフは料理を作ろうとキッチンへと歩いていく。

「あとワインもお願いしますね〜!」

屍の言葉にシェフは鋭く彼を睨み付ける。

「俺の料理に注文するな…! 酒が飲みたければバーへ行け……。」

誰もが従わざるを得ないシェフの目付きと口調だが、彼は恐れるどころか緩い笑顔を見せた。

「やだな〜酒は料理を引き立てるんですよぅ?ワインなんかシェフの料理に合いますから更に美味しくなるんだこれが……。」

長々と続いている屍の話にシェフは溜め息を吐き、踵を返して食堂の扉へと歩いていく。

「酒の種類は俺が選ぶ…。」

「ん…いってらっしゃい……。」

呂律の回っていない声を背中で聞き、彼はバーへと向かった……。



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