第2回謙光祭

□仲直り
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ぎゅうぎゅうと、半日分を取り戻さんと言わんばかりに強く抱き締めてくるその力強さに、不安が消えていくのが分かる。やっぱ俺、謙也さんが居らんとあかんのやな。

「泣かしてごめんな。」

首を横に振ると、抱き締めていた腕を離し、正面に回ってくる。
涙で濡れた目元に唇で触れ、優しいキスをくれた。

「続きは部活が終わったら、俺んちでな?」

瞼にチュッとリップ音を立ててキスを落として、俺の大好きな顔を見せてくれた。
謙也さんの笑顔。
それだけで幸せになれる俺は、かなり単純やと思う。
でもしゃーないっすわ。やって俺は、謙也さんを愛しとるから。
頷いて涙を拭くと、手を繋いで2人で部室に戻った。



「ところで、昨日は何で、イグアナを構い倒したん? 光、苦手やろ?」

昨日の喧嘩の原因は、謙也さんちのイグアナ。
謙也さん放っておいて構っていたら、謙也さんが嫉妬して。
「そないにイグアナがええんやったら、ずっとそうしとればええわ!」言われて、思わず「そうするわ! 今の俺は、謙也さんよりこいつんことのが好きや!」てつい返してもうた。
今振り返れば、何てくだらない理由。
でも、俺の行動にはちゃんと意味があって。

「謙也さんの好きなもん、俺も好きになりたかったんっすわ」

そうすれば、イグアナの世話をする謙也さんを1人で待つことなく、一緒に居ることが出来る。謙也さんと居れる時に、自分の我が儘で離れてなきゃいけないんは、もう嫌や。やったら、自分が頑張ればええ。

「光! 可愛すぎや!」

俺にはこの人が、必要なんやから。


謙也さん。今日は、2人でイグアナに構いましょうね。


END

(C)確かに恋だった


 
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