恋愛小説
□僕ガ彼女ヲ殺シタ
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沙羅「せ…いが…?」
今の今まで恋人だった沙羅(さら)を
持って来た短刀で刺し貫いた。
まるで抱き合うように身体を引き寄せ、
腹に刺さったままの刀をより深く、
柄がめり込むほどに沙羅に突き刺す。
じわりと生温かいものが、
渾身の力を込めて短刀を握っている
僕の手に感じられた。
命の、生きている証であるその流れが…
出るべきではない、身体の外へ吹き出しそうとしている。
辛うじて傷口を塞いでいるこの刀を
今、僕が抜いてしまえば
きっと沙羅は未来を見ることなく、
近くその生涯を閉じるだろう。
星牙「ごめん、沙羅」
わかっていた…わかっていたから、
僕はその柔らかな肢体から
鋭く尖った短刀を一気に引き抜く。
沙羅「…ッ」
沙羅が身体のバランスを崩して倒れる。
無機質に、そして緩やかに時間が流れる。
まるで…映画の1シーンのように、
僕の腕をゆっくりとすり抜けて
豊かな髪を流れるにまかせながら、
ガクンと地面に伏した。
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