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□“無限の幸せ” fromみゆ
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―――貴方に出会い


  貴方に惹かれ


  貴方に愛され


私は無限の幸せが訪れることを予感した―――











『りん、帰ったぜ』


玄関から聞こえる声に私は手を止め、胸を弾ませ小走りで向かう



『おかえりなさい!今日もお勤めご苦労様でした』




潮風の香りと共に視界に入ってきた愛しい貴方の笑顔に安堵する



左之助さんの纏う空気…それだけで幸せに包まれるのだから、我ながら単純だなと思う




『おう…ってお前、そんな走ったりしたら駄目じゃねぇか!』



『す、すみません。左之助さんが帰ってきたことが嬉しくて…』



以前より心配性になった左之助さんに、正直な気持ちを伝える


すると彼の頬が少し紅く染まり、ボソッと何かを呟いた



『……本当にこいつは可愛い女だな…


だが今は…我慢あるのみだ…』



『え?』



『な、何でもねぇ!


さぁ中に入ろうぜ。


とにかくりん、お前は暫くは走るの禁止だぞ』



『ふふ…はい』



左之助さんの呟きは聞き取れなかったけど
私はとても温かく、穏やかな気持ちで左之助さんと共に部屋に戻った――…








『あ、動いてる!』



『本当か!?どれどれ…』



お茶を煎れ二人で他愛のない話をしていると、お腹の中の【命】が動いた



大きく膨らんだ自分のお腹に愛しさを込め手を添える


私はあと一週間程でお産を迎えるのだ



左之助さんも待ってましたとばかり私のお腹にそっと、大きく無骨な手を添える




(私達の温もりが…想いが…
あなたにちゃんと伝わっている?)


私はそう心の中で我が子に語りかける






『……あれ、おとなしくなったかも…』




何故か彼が動きを確認しようと触れる度、赤ちゃんは静かになってしまう




『……おーい、無視しないでくれよ。

お前の親父だぞ〜?』



困ったように笑う左之助さんが、私の大きくなったお腹に耳をくっつけて話しかける



その姿がなんだか無性に可愛く思えて、私は彼の張りのある赤色の髪を優しく撫でた



『きっと左之助さんの手が心地良いんですよ。


ほら…あなたの父様よ?元気なことを教えてあげて?』










―――ポコッ……




『……おお!?


い、今何かグニッと出たぞ!?』



『足で蹴ったんですよ、…ふふ、お転婆な子ね』



『そうか!今のが足か!


よしよし、お前立派な足してんじゃねぇか』



そう目を輝かせて嬉しそうにお腹を撫でる左之助さん


彼がこの子に会う日を本当に楽しみにしてくれているのがひしひしと伝わる



何て、満ち足りた幸せなひと時なのだろう




生まれてくるこの子を愛する人と待ち侘びることができる喜び



まさかこんな日が訪れようとは夢にも思わなかった



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