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□“無限の幸せ” fromみゆ
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『あ……





左之助さんお腹が空いたでしょう?


すみません、ゆっくりしてしまって。

もう出来てますから…今からよそいますね』



和み過ぎて夕餉の事がすっかり頭から抜けていたことに気付き、私は慌てて立ち上がろうとする



『あぁ、いいって!俺がする。

りん、お前はそのまま座っていてくれ』



体勢を戻した左之助さんは優しく私を制す




『でも、左之助さんはお仕事から帰っていらしたばかりですし…』



『いいんだよ、既に料理はお前が作ってくれてんだから十分だ…


いつも美味い飯ありがとな、りん。


お前の料理の腕前は世界一だぜ』



左之助さんは目を細めて私の頭を撫でた



『フフッ…誉め過ぎですよ。



左之助さん…私の方こそありがとうございます』



『ん?何がだ?』



『ふと新選組にいた頃を思い出したんです。


出会った時からずっと……

貴方は私を気にかけ、優しくしてくれました。



私がどれほど救われていたか…



左之助さんに出会えて、本当に幸せです』



改めて私は彼に感謝の気持ちを伝える



『…俺もだよ。


お前が俺の手をとってくれて感謝してる…


俺は今怖いくらいに幸せだぜ?』



『左之助さん…』


槍を扱っていた名残を残す少し硬い掌が
私の両手を包み込む




『俺はお前と子供を一生賭けて守るから…


りんは安心して、傍にいてくれたらいい』




前屈みになり視線を合わせた左之助さんの力強い瞳に胸が高鳴る





『はい、もちろん信じています』



この人は本当に優しく…そして強い人だから



新選組にいた時から……どんな時も私のことを気遣かってくれ、守ってくれたから



二人で迷いながらも、ここまで生きてきた



喜び、怒り、哀しみ、楽しみ



全ての感情を貴方と分かち合いたい



これから先も
自分の素直な気持ちを伝え続けたい―――



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