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□本当の君
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周りを見渡すと、30メートル程先に既に俺以外のみんなが集まっていて、声をかけようとした時に俺は驚愕のあまりビニールバッグを落とした。

「じゅ、じゅだっ、じゅうだいっ!!???みんなに羽根見せていいのか!?」

十代の背中には、確かに2つの小さな羽根が生えていたのだ。
俺のすっとんきょうな大声に十代を含めみんなが振り向き、「はあ?」と言いながら近付いてくる。

「だだだって、十代の背中に羽根が………………あれ………………???」

十代の上半身を近くで見ると、さっきは何も着ていないと思ったのに普通にTシャツを着ていた。

「え?だって、さっき……」

「ああ、これか?」

十代が後ろを向くと、そこには確かに小さな羽根があった。

ただし、プリントされた…。

「このTシャツ、ベージュっぽいからなあ〜。ヨハン、俺の背中に羽根が生えてると思ったのか?」

ニヤニヤと笑う十代の周りで、みんなが腹を抱えて笑っている。

「だ…だって、十代は天使じゃないのか?」

俺の言葉に一瞬しんと静まり返り、一拍置いたあと先程より大きな笑い声が空に吸い込まれた。

「あはは!俺、そんなこと言われたの初めてだよ!」

「アニキが天使みたいに可愛いのはわかるけどね〜」

「て、天使って!おとぎ話の話だろう…くくっ…」

「やっぱりヨハン先輩はメルヘンの国の王子さまだドン!」

俺の顔が熱いのは、照りつける太陽のせいだよな、うん。

「うっ、うるさい!!!俺先に泳いでるから!」

笑い声を背に、俺は逃げるように海へ走っていって勢いよく飛び込んだ。






天使だと思ったんだけどなあ……
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