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□St.Valentine's Day
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現に、十代に言い寄ってくる9割は女性で、残りの1割は男性だが、ドMばかりで十代は辟易しているという。


「なあユベル、堅苦しい挨拶は止そうぜ?俺とユベルの仲だろ?」

「十代とどうこうなった覚えはないよ。今日は何人の女の子と遊ぶんだい?」

「今日は……ミキちゃん、リカちゃん、レナちゃん、アユミちゃんだな。…おい、冗談だって。そんな顔すんなよな〜、冗談が通じねえヤツ………。今日は一人だよ。俺が愛して止まない、恋人と会うのさ。」

「えっ、恋人いたの?大変だね、その子…」

そう言えば、覇王が言っていた気がする。
何でも、あの十代が夢中になっているらしい。

家では覇王にのろけてばかりいて、覇王は「うっとおしい」と言っていたが、そういう覇王の顔は少し綻んでいた。
姉が幸せだと、覇王も嬉しいのだろう。

「お、お姫様が来たぜ」

ニヤニヤしながら覇王を見る十代を見ながら、心の中で十代の恋人…可哀想な子羊を哀れみ、そんなに十代をメロメロにさせる子は誰なんだろうとユベルは考えていた。

「待たせてすまない。上着を着るのに手間取ってしまって…」

「ん、いいよ。それじゃあ、出掛けようか」

「ああ。十代、9時頃に帰る」

「あ、俺、今日は家に帰らないぜ。恋人の家に泊まるから、ユベルもうちに泊まれよ。ていうか、泊まってくれないと困るんだよな〜〜〜〜〜〜〜……」

「え?、………え?何で?」

気まずそうに言う十代からは嫌な予感しかしなかったが、ユベルは一応理由を訊いてみることにする。

「えーっと………じゃあ、ヒント。俺の恋人のイニシャルは、J.Aで、目の色は、翡翠。」

J.A…翡翠……覇王は考えたが、姉の交遊関係は全く知らないし、覇王の知り合いにもそんな人はいない。

しかし、横に立つユベルを何気なく見て驚いた。


この寒いのに、汗をかいている。
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