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□良い子のための性教育
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そんなある日、珍しく覇王がユベルを家に呼んだ。
大事な話があるとのことで、ユベルは心を踊らせて向かったが、いざ覇王の部屋で二人っきりになると、覇王はユベルに衝撃的なことを言った。
「初めて彼氏が出来た」
「…え?」
予想外すぎて、覇王の言葉を理解するのに少し時間がかかった。
「だ、誰なの!?名前は!?」
その男をどういう方法で殺そうかと考えながら一気に捲し立てて聞くと、覇王は平然と「お前の知らないやつだ」と言い、「だから、」と続けた。
「初めてセックスするときに知識不足で恥ずかしくないよう、どんなものかを教えてほしい」
「セッ…クス…」
そこで、ユベルの頭は完全に真っ白になった。
「だめだよ、セックスなんて!まだ高3なのに…!」
「まだ、と言うほどはやくもない。それに、お前だってしているだろう」
「そ、それはそうだけど…」
ユベルは、昼食をとっているときに喋りすぎたことを後悔した。覇王を止めようとしても、自分のことを出されてはぐうの音も出なくなる。しかし、自分が初めて恋をした覇王の貞操が、そんじょそこらの男に奪われるなんて有り得ない。
他の男に愛撫されて悦んでいる覇王を想像すると、はらわたが煮えくり返りそうになった。
「ね、覇王…」
お願いだからやめてよ、と言おうとしたら、覇王が抱きついてきて、「こんなこと頼めるのはお前ぐらいだ」と小さな声で言ったので、もう引き受けざるをえなかった。
「じゃあ…えーっと…セックスっていうのは、大まかに分けて2つ。愛撫と、挿入だよ。」
「挿入は、膣内に陰茎を入れることだろう。愛撫とはなんだ?」
どうやら覇王は、セックスとは挿入するだけだと思っていたらしい。
思ったより、というかやはりそういう知識が無い覇王に、どうやって説明しようかユベルは悩む。
「うーん…愛撫は、濡らすためにやるんだよ」
「濡らす?水をかけるのか?」
「……。」
ユベルにあからさまにあきれたような困った顔をされて、覇王はバカにされたと思ったのか、ムッとした顔をした。
「じゃあ、お前が濡らしてくれ」
頭のいい負けず嫌いの覇王は、この問題を解決するには実際にしてみるのが良いと判断したのだろう。
しかし、ユベルにとっては生殺しだ。かといって、彼氏に覇王を触られるのは癪にさわる。
「えっと…じゃあ、胸、触っていい?」
「それで濡れるなら、触れ」
意外とあっさりと受け入れられ、ユベルはどきどきしながら覇王の、決して豊かとは言えない胸に手を置き、少し動かした。