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□この気持ちの名前は、・・・
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少し歩いて着いたのは、空き教室だった。
以前は教室として使われていたと誰かから聞いたことがあるが、今はそんなことどうでもよかった。

「十代、何で俺を避けるんだ?」

教室に入り、ドアにしっかりと鍵をかけてヨハンが言った。
十代は答えられず、ヨハンの眼差しに耐えられなくなって目をそらした。
答えられるはずがない。

十代にも分からないのだから。

最近はヨハンのことでつらくなる頻度が増してる気がする。
自分で勝手に悲しんでヨハンを避けて迷惑をかけるのも嫌だし、何より十代がこれ以上は耐えられない。
しばらく考えると、ヨハンにとっても十代にとっても、一番いい策を思いつ
いた。それは、友達ではいなくなること…。

「ヨハン…、絶交しよう。なんか俺、ヨハンに、釣り合わないし…っ」

他にも、適当な理由を言おうとしたが、目から涙が溢れて言葉に詰まってしまった。
自分の気持ちを抑えるように、下を向いて大きく息を吐いて目をつむったが、その拍子に涙がポロポロと頬を流れ、逆効果だった。

「なんだよ、それ…。なんでだよ…」

ヨハンの声に怒りと悲しさが滲むのがはっきり分かって、十代は、自分が世界で一番悪いことをしているような気持ちになった。

「十代…顔上げろよ…」

つらそうな声でヨハンに言われても、十代は涙で汚れた顔を上げられなかった。
何分経っただろうか、十代は相変わらず下を向いたままでいると、突然ヨハンに顔を無理矢理上げさせられ、激しく口付けられた。

「んん!?ん、ん…!」

胸板を押しても、ヨハンはビクともしなかった。それどころか、十代が息継ぎをした隙に舌までねじ込まれた。

「あ、ん…っ!ふぁ、あ…、ん……」

段々とヨハンの舌の動きが緩やかになり、歯列をなぞられたり舌を優しく吸われ、徐々に足に力が入らなくなっていったが、ヨハンが腰に手を回して体を支えてくれた。
十代が体を離すためにヨハンの胸に当てていた手も、いつのまにかすがるようにヨハンの服をぎゅっと掴んでいた。

生々しい水音をたてて唇を離すと、十代は自分の唇が互いの唾液で濡れているのを感じたが、どうすればいいのか分からなかった。

「十代…」

ヨハンの顔がまた近付いてくる。
十代は無意識に目を閉じると、ヨハンに唇を啄まれるのを感じた。

「俺のこと好き?」
そう十代に聞くヨハンの顔は、確信している。
今までモヤモヤしていた理由は、ヨハンが好きだからだったんだと気付き、キスでとろけた顔で、うん、と小さく言いかけたが、ヨハンにまた激しく口付けられて
最後は言葉にならなかった。















(こうでもしなきゃ、十代は自分の気持ちに気付かないだろ?)
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