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□情けない話
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只今、夜中の2時を少しまわったところ。

寮生はおろか、火山も草木も眠っているであろうこの時間帯に、俺、ヨハン・アンデルセンだけは眠らずにベッドの中で目をギラギラさせていた。
それもこれも全て、俺が着ているジャージの胸の辺りの布をきゅっと握って、穏やかな寝息をたてている親友―――遊城十代のせいだ。

ああ………今晩も、眠れない…。









俺はずっと前から十代のことが好きだ。

デュエルアカデミアに留学する際、向こうにはどんな強者がいるんだろうと興味本意で調べたときに偶然にも遊城十代の存在を知り、デュエルアカデミアに到着してからまず最初にデュエルをするのは遊城十代にしようと、勝手ながら俺は決めていた。
そして、出会うシチュエーションは俺の予想とは大分違っていたが、楽しみにしていた十代とのデュエルで、俺は今までにない高揚感を味わうこととなる。
あと、精霊が見えるっていうのにも凄く驚いた。
俺達はすぐに友達になって、自然と一緒に行動するようになる。
そうして『遊城十代』という人間をどんどん知っていって、俺はいつの間にか………恋に落ちていた。
十代のちょっとした仕草や発言が、俺の心を捕らえて離さない。
ここが俺の国の学校だったら、もっと仲良くなってからの告白…といくところだが、残念ながらここは日本で、おまけに卒業するまで1年もない。
焦る気持ちはあるが、恋をした経験はあれど男にはしたことのない俺はどうアプローチしていいかわからず、やきもきするだけの日々が続いている。

今だって、十代が「レッド寮は夜暑くてつらいから泊めてほしい」と夜8時くらいに俺の部屋に来て、止める間もなくベッドの中に入りすぐに寝てしまった。
しょうがないので、俺はソファーで寝ようといそいそと準備をしていたら、なぜか十代が目を覚まして舌っ足らずな声で「よはん一緒にねよう」と言ったので、俺は仕方なく……仕方なくだぞ!ベッドで寝ることにした。

そしたら、これだよ。

最初は俺と十代の間に人一人分くらいのスペースがあったにも関わらず、十代の寝相の悪さでこちらまで転がってきて、俺がやっぱりソファーで寝ようと布団から出ようとしたら、逃げるなと言わんばかりに服を掴まれた。
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