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□秀才と純粋2
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十代は、廊下の角からそっとヨハンの部屋の扉を見る。

「ヨハン様はいない…。よし」

確認してから早足に部屋の前を通りすぎ、目的の部屋に入ってから、ヨハンと会わなかったことにほっと胸を撫で下ろした。

あの夜から既に3日が経っていて、十代は今日も主であるヨハンを避け続けている。

肌を重ね、快楽の熱い渦の中に二人で堕ちていったところまではまだ良かったのだが、朝、いつもとは違う肌触りのいいベッドのヨハンの腕の中で、全裸で目覚めたとき、自分のしたことの重大さに気づいて……下着だけをはき、ヨハンの部屋から一目散に逃げ出した。
それ以来ヨハンと顔を合わせるのが気まずくて(ヨハンと会うと顔を真っ赤にさせる自信があった)、ヨハンに部屋に呼ばれたときも「仕事があるので」と言って逃げていた。

いつまでもこのままじゃいけないと思いつつ、時間だけが過ぎていく。









同日の夜、十代は日課となっている屋敷の巡回をしていた。
部屋の一つ一つに入り、電気の消し忘れがないかなどを確認する。
今回ヨハンの部屋を通るときは、あまり緊張していなかった。
他の執事やメイドの話によると、来週にアメリカで行われる学会で発表する論文がつい先程完成したらしいのだ。
だから今日は早く寝てしまうのだろうと十代は思っていた。

寝ているであろう主を起こさぬよう、十代は足音を立てずに通り過ぎようした。

しかし…

「うわっ!?」

ヨハンの部屋の扉が勢いよく開き、にゅっと伸びてきた手が十代の襟首を掴んで部屋に引き入れる。
そのまま正面から壁に体を押し付けられ、十代は一瞬息を詰めた。
「十代、久しぶり」

「ヨハン、様…お離しください…」

やはり、ヨハンだった。

「なぁ、何で最近俺のこと避けるんだ?あの夜は、あんなに…よかったのに……」

ヨハンは言いながら十代の下半身を服の上からゆっくりと撫で、うなじを舐めた。

「あ、ァあ…だめ、お止めください…あ……っ」

「何でだ?十代だって泣きながら何回もいっただろ?」

震える唇で制止したのに、前回の自分の恥態を無理やり思い出させられて、十代の顔は予想通り、いやそれ以上に真っ赤になった。
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