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□こんな休日、いかがですか?
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右隣からは、恋人が口にくわえているプラスチックのスプーンと歯がぶつかるカチカチという音。
そして向かいからは、ヨハンに向かって楽しそうに話す男の声。
「はぁ………」
ヨハンは男の話に苦笑いしながら、ひっそりと溜め息を一つついた。
―――――――――
今日は久々に晴れた休日だったので、いつもしているような…いわゆる『お家デート』ではなく、十代とヨハンは街に出ることにした。
ウィンドウショッピングをしたり、喋りながら行く宛もなくふらふらと歩いてみたり…。
ヨハンは不思議と、十代とこうしてただ歩いているだけなのに、まるで遊園地に行ったかのように楽しい気分になっていた。
そして、十代も同じ気持ちだったらいいなとヨハンは思い、繋いだ手に少し力を込める。
「なぁ、小腹空いたし喉も渇いたから、どっか店に入らないか?」
ヨハンが提案すると十代は頷き、
「ああ、じゃああの店に入ろうぜ」
ヨハンの手を引いて、オープンテラスがあってなかなか賑わっているアイスクリーム屋に入った。
しかし、
「うわ」
店内に入るなり十代は小さく声をあげる。
何故なら、店内を見渡せば、カップル、カップル、カップルだらけだったのだ。