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□本当の君
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十代に初めて会ったとき、俺は十代を天使だと思った。
勘違いしないで欲しいのは、『天使のように可愛いと思った』ではなく(可愛いけど)、『天使だと思った』だ。
ヒトじゃないなぁ、って。
こんなことを誰かに言ったら「確かに十代は可愛いけど…」と苦笑いされて終わるだろうから、誰にも言わない。
不思議なことに、初めて会った気がしなかったんだ。
それはきっと、俺は天界(?)で十代に会ったことがあるからだよな!
その日から、十代は天使なんだと心の中だけで思い、誰にも言うことなく過ごしていた。
そして、夏のある日。
俺、十代、翔、剣山は万丈目ルームに集まり、ぐったりと床に寝そべって(万丈目だけは「出ていけ貴様等!!」と叫んでいた)連日続く猛暑に完全にやられていた。
昨日まではクーラーのある俺の部屋に集まっていたけれど、毎日クーラーをフル活動させていたせいか、突然死んでしまった。
みんな口を半開きにし、「あちー……」と「あー…」を繰り返している。
ちなみに、俺はぐったりしながらも十代のきれいな首筋に伝う汗を見てエロいな…と考えていた。
そんな中で、誰かが呟く。
「海行きたいー…」
俺たちは水を得た魚のように突然元気になって、十代と万丈目以外は各自の寮に戻って水着を準備し、20分後に灯台近くの砂浜で落ち合うことにして一時解散となった。
俺は汗をダラダラ流しながら海パンを履いて白いタンクトップを着て、ビニールバッグにタオルと着替えを突っ込んで寮を出る。
森を通っている最中に、波の音が聞こえ、海のにおいがし始めてわくわくしながら走って森を出ると、めちゃくちゃ綺麗な海が広がっていた。