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□良い子のための襲い方
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PM18時、ユベルの家。

ユベルの部屋で本を読んでいた覇王は、文字の羅列から初めて目を離した。

「………そろそろ帰る」

「えっ?あ、うん。下まで送るよ」

覇王は鞄に本をしまって立ち上がり、ユベルも立って覇王を先頭にして一緒に部屋を出た。
外に出て、覇王は数歩歩いてから振り返り、「じゃあ」とだけ言ってユベルの返事を待たず歩き出してしまった。

毎度のことながら、素っ気なさすぎる。
仮にも好き同士なら、熱い抱擁ぐらいはしてくれてもいいんじゃないかとユベルは思った。

初めて想いを確かめあった日から1ヶ月、まるきり何もなく、あの日のことは夢だったのではないかと思ってしまうほどだ。
しかし、ユベルは覇王の肌の柔らか
さも、覇王の矯声も、覇王の欲情した顔も覚えている。
前に付き合った子達は自分からよく求めてきたのだが、覇王は何も言ってこない。
こちらから手を出そうと思ったことはあるが、いまいち勇気が出なくて実行できなかったのだ。
今日も手を出すチャンスはあったのに、それをみすみす逃してしまい、ユベルはガックリと肩を落としながら家に入るしかなった。

しかし、次のチャンスは意外にも早く訪れた。

放課後、帰り支度をしているときに覇王がこちらに来た。

「今日の数学でわからない所があった。教えてほしいからうちに来てもらいたいのだが」

「えっ…、うん、わかったよ」

覇王の家に呼ばれるのはあの日以来で、どうせ何もないと分かっていても、つい期待してしまう。

「今すぐ行くの?」

「ああ。早い方が良いだろう」
よく見れば、覇王は既に鞄を手に持っていて、ユベルを待っている状態だった。
嬉しくてつい顔がニヤけてしまい、覇王に怪訝そうな顔をされる。

「早くしろ」

いつものように冷たい声で言われたのに、自分を待っていてくれるかと思うと口元が緩むのを抑えられなかった。
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