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□これでも恋人じゃない
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翔が、休み時間に教室で堂々と抱きあっている二人に聞いた。
「アニキとクソフリr…ヨハン君て、付き合ってるんすか?」
「え?今クソフリルって言「まさか!俺とヨハンは友達だぜ!」
無邪気に笑う十代の瞳に嘘は無い。
ヨハンも十代の腰に腕を回しながらうんうんと頷いている。
しかし、二人の右手の薬指には同じ形の指輪。これでは、二人の仲を疑わないほうがおかしいというものだ。
「なぁーヨハン、俺、放課後ゲーセン行きたい…」
ちょっと遠慮がちに十代が言うと、ヨハンはにっこりと笑いながらいいぜ!と言って、十代の頬にチュッ、と軽くキスをした。
「ヨハン…恥ずかしいって…」
「でも、嫌じゃないだろ?」
照れて赤くなった十代の頬にヨハンがそっと触れると、十代は赤くなったまま無言で頷いた。
「僕、透明じゃないよね?ちゃんと見えてるよね?」
翔が確認するように二人に聞くと、ああ、と十代が言った。
「十代、ゲーセンの帰りに、久しぶりに俺の部屋来ないか?」
ヨハンが十代を誘うと、十代はためらうような仕草を見せた。
「ん…、いいけど、ヨハンの部屋行くとすぐにベッドに入っちゃうだろ?」
「え?嫌か?」
「まさか、嫌じゃないぜ。ヨハンと寝るの、あったかくて気持ちいい。でも、ヨハンといるのに寝ちゃうのは勿体無いだろ?」
十代が悪戯っぽく笑って言って、つられてヨハンも笑った。
なんだ、寝る話か・・・と翔がホッとしたが、すぐに我に返り、二人に怒鳴った。
「ちょっと!不純っすよ!ふっ…二人でベッドで寝るなんて…!それに、その指輪はなんすか!」
ヨハンと十代は、翔が怒る理由が分からないというように首をかしげている。
「だって俺ら、親友だもん。この指輪は、友情の証。な、十代」
「ああ!」
二人は顔を合わせて笑いあい、また二人の世界に入って行った。
それを見て、翔はひっそりと溜息をつく。
この様子では、今後、先ほどの翔と同じような質問をされてもこう答えるだろう。
「「俺とヨハン(十代)は、友達だぜ!」」
(ほんとはお互いに好きだけど、勇気が無くて前に進めないだけ)