旧拍手

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今日、授業中に俺の隣ですうすうと寝息を立てて寝ている十代の頬を撫でながら思った。
『十代はどの程度のスキンシップまで許すのだろう?』と。

俺と十代はスキンシップが多いと思うし、実際に一日に二、三回は互いに触れる。ハグだったり手を握ったり体を撫でたりと内容は様々だが、互いに触れない日は無いくらいだ。男同士にしては多いと思う。
友達になってしばらくはたまに肩に触れる位だったのに、今では…ベッドの中で抱き合って寝ることもある。こんな日々を送っていれば、当然の疑問だろ?

***

「ヨハン、まだ終わらねーのか?」
「んー、あと15分」
「30分前もそう言ったぜ…」
俺はブルー寮の自室で、来週行われるテストの勉強をしていた。十代は俺が勉強を始めてしばらくはテレビを観たりして静かにしていたが「あとどれくらいで終わる?」という最初の質問をきっかけに、立ち膝になって俺の勉強机のふちに手を重ねて置き、その上に顎を乗せて、たまに「あとどれくらい?」と聞くようになっていた。俺は集中していたので生返事ばかり返していたら、ふいに十代が静かになる。
どうしたのかと思い何時間かぶりに十代を見たら、先ほどと同じ格好で、少し頬を膨らませ目線は斜め下に落とし、かなり不機嫌そうな顔をしていた。
「ははっ、なんて顔してんだよ」
「だってヨハンは俺より勉強が大事みたいだし…」
思わず笑った俺に、明らかに拗ねている声で十代は言った。
「そんな顔しないで、機嫌直せって。な?」
膨らんでいる十代の左右の頬を右手の親指と中指で挟んで膨らみを押すように指を動かすと、十代はますます面白くなさそうな顔をする。指を動かす度に十代の唇が動くのがまた可愛くて、その時俺は授業中の疑問を思い出した。

『十代はどの程度のスキンシップまで許すのだろう?』

俺は十代にぐっと顔を近付けると、頬を掴んでいた手で十代の顎をすくい、目を閉じて十代の柔らかな左頬を唇でなぞる。
ゆっくりと、愛撫するように。
さすがに嫌がるかなと思って薄目を開けて見ると、十代は顔を赤くして閉じたまぶたを震わせ…感じているとしか言えないような表情をしていた。
そこから十代の滑らかな唇にキスをして、濃厚なものに変わるのに時間はかからなかった。
「もっと激しいことしていい?」
キスの合間の俺の問いかけに、十代は耳まで真っ赤にして黙って俯いてしまったが、僅かに頷いたように見えのは俺の勘違いじゃないよな?

End

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