旧拍手

□Message for you
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「はぁー………」

学校からの帰り道、俺は乾いたアスファルトに向かって盛大に溜め息をついた。
原因は、ヨハンとの…今思えば下らない理由での、喧嘩。
最初は些細な言い合いだったのに、最終的にはみんながいる教室で怒鳴り合うまでに発展し、キレた俺が教室を飛び出したので取り敢えずは終わった。
教室を出て20分後、だんだん頭が冷えてきた俺は、喧嘩するんじゃなかった、言い返さなきゃよかったと早くも後悔したが、「ごめん」なんて言いづらくて……結局、いつもはヨハンと二人ならんで帰る道も、気晴らしに携帯でラジオ番組を聴きながら一人寂しく歩いている。
ちなみにこのラジオ番組も、ヨハンに面白いからって教えてもらったやつだ。

「ヨハンのばか…」

ヨハンと少しの間離れているだけでこんなにつらく、悲しいなんて。
何回目かの溜め息をアスファルトに落とそうとしたとき、ラジオのDJが俺の気持ちとは正反対の、明るい声を出して言った。

『さあて次は『Message for you 〜大切なあなたへ〜』のコーナー!このコーナーは、知り合いのリスナーさん同士が普段言えない心の内を、ラジオを通して伝えようというコーナーでーす!今日はどんなメッセージが送られて来ているんでしょうか〜?』

メッセージかあ…。
ヨハンに、メールしようかな………?

『まず初めのメッセージは…東京都在住のヨハンさんから!』
「えっ!?」

俺は一人ですっとんきょうな声を上げ、立ち止まってポケットの中から携帯を取り出してラジオの音量を上げた。

『それでは、読み上げます。「十代、お前といない時間がこんなにもつまらなくて、さみしいなんて思わなかった。今すぐお前に会いたい。本当にごめん」…だそうです!キャー、熱い!カップルさんですかね?十代さん、ヨハンさんは大変反省しているそうです!許して上げてくださいね〜!さて、次のメッセージは…』

俺はメッセージを聴き終えた途端、鞄を担ぎ直して全力で走り出した。
周りの目なんて、全く気にならない。



…ヨハンの家に着くまでに、赤くなった顔が少しでも元に戻っていることを願いながら。







End

ヨハンって、こういうキザったらしいことしそう。
次の日、二人は学校でますますイチャイチャします。
異常に顔近づけて喋ってたら、可愛いなあ!
そして二人は学校公認のカップルに……
 

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