その他

□拍手置き場。
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拍手小説第3弾 【特別な時間】


『はぁ……山本君、まだかなぁ』


雪がはらはらと降りしきるグラウンドを教室から眺める。いくら部屋の中といっても、ストーブも何もついてない教室は冷え切っていた。せっかく持ってきたカイロも放課後になり、温もりのカケラも残っていなかった。

一応、各教室に一台づつストーブが置かれているが私一人のためにつけるというのは気が引ける。なので、少しでも暖かく感じるぐらいにでも、手を擦ったり、息を吐いたり寒さしのぎをしながら愛しの彼、山本君を待っている。彼女の私が"山本君"なんていうのはどうかと思うが、"武" などと名前で呼ぶのは恥ずかしく山本君も気にしていないようなので私なりの呼び方をしている。


彼は野球部に所属しており日々練習に明け暮れている。だからいつもは先に帰っているところ、今日は雪でいつもより早めに終わるそうなので一緒に帰る約束をした。



『それにしても、雪が降る中よく頑張るなぁ』


机にうつ伏せになりながら横目で時計の秒針を見ながら独り言のように呟いた。


「そりゃぁ、オレは野球が好きだかんな!」

『ぅわ!!!や、山本君!いつの間に…』


さっきまでグラウンドで練習をしていたであろう山本君が教室の後ろのドアの前に立っていた。

い、いつの間に来たんだこの人は!!瞬間移動!!??それとも階段をありえないぐらいの段を飛ばしながらやって来たとか!!??、と私の頭の中は現実では有り得ない事ばかりぐるぐる回っていた。


「わりぃーな、遅くなっちまって。じゃ、帰るか」

『…う、うん』


結局どうやって教室まで来たのか知らぬまま帰るのであった。
(いや、普通に階段を上がって来たんだろうけどね!!ι)


外は、教室よりも寒かった。ひんやりとした風が鼻をくすぐる。思わず首に巻いていたマフラーを口元まで上げる。

この中で山本君たちは練習をしてたんだと思うとある意味尊敬する。

寒いのと、最近山本君に触れてないと思い(変な意味ではないぞ!)ごく自然に手を繋いだ。


「っ!!手、冷てぇのな。わりぃ、教室寒かったろ…?」

『ううん。大丈夫。山本君とこうしていられるんだから』


私がそう言うと山本君が私の手をギュッと強く握り返した。山本君の手は思ってたより温かくて、久しぶりに繋ぐ手は大きく思えた。二人きりのこの空間が嬉しくてつい山本君に向けて微笑んだ。山本君は一瞬キョトンとして、その後ニカッと笑ってきた。


「ハハッ、頭に雪ついてっぞ」

『えっ?』


山本君は撫でるように優しく頭についているであろう雪を取り払ってくれた。と言っても殆ど髪の毛に染み渡ってたみたいだけど。…なんか頭冷たかったし。

…よく見ると山本君の頭にも…


『山本君もついてるよ』


私も山本君についてた雪を取り払おうと背伸びをする。


「ハハッ。全然たってねーぞ」

『う、うるさい!私だってやれば届くんだから!』


山本君と私とでは身長差があるのでなかなか手が届かない。


「はい!よろしく」


山本君は私にでも届くくらいにしゃがんでくれた。


『はい!とれたよ!』

「サンキュ」


――ギュッ

そしてまた、手を繋ぎ直して歩き始める。

この空間がこの時間が私にとって最高の幸せ。


あなたといる二人だけの時間。
手を繋いでいる二人だけの空間。

いつもとは言わない。だからまた、この時が来るように…

二人だけの――…







【特別な時間】




(…ほい。傘ん中入れよ)
(私、オリタタミ持ってるよ?)
(いいから)
((相合い傘///)…うん、ありがと)






END







読んで下さりありがとうございます!!

初!!リボーン・山本夢でした。最近リボーンにハマってまして(←遅いだろ)書きました。ちなみにブリーチも最近ハマりました!(←うん!遅いだろ)


*柚*

掲載期間:2010/11/25〜2011/03/09
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