少年漫画
□ちゅーする悪魔
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「ちょっと、ミホーク起きて」
「もう起きている」
相変わらず半裸で、ゆっくりと体を起こすオッサン。年齢差は激しいが…私の彼氏だ。
七武海と一般人が付き合うなんて!と、ガープという人(これまたオッサン、というかおじいちゃん)に突っ込まれたそうだが、ミホークは気にしてなさそうだった。
「おはよう」
「おはよう」
彼は私の長い髪を掬ってそれに口付けると、そっと笑った。
いつも、そう。
彼は1日最低10回、私にキスをする。ミホークなりの愛情表現みたいだからすごく嬉しいんだけど、困ったことに人前でキスしてくるのだ。
ついこの間、ピアスをつけた緑髪の青年(ミホークお気に入りの剣士だろう)が訪れたときだって、何回キスされたんだろう。
「考え事か?」
「うん」
「…何を考えていた」
「言わなーい」
またこのパターンだ、とでもいうように、彼はため息をつく。
「隠すな。隠していても分かる」
「…ミホークはキス魔だなって考えてた」
「接吻ほど大切な愛情表現はない」
何それ、と笑う私は、ミホークにぎゅっと抱き締められた。
…ミホークのせいで暑いような気もする。
「悪いか」
「悪くないよ。ただ…面白いなって思って」
「じゃあ、何がいい」
金色の瞳が、静かに揺れた。
この瞳に見つめられると、何もしてないのに恥ずかしくなってしまう。これが、七武海なのだろうか。
「もっと、別のキスがいい」
「そうか」
私の唇とミホークのそれが重なる。啄むようなキス。リップ音で耳が侵され、何も考えられなくなった。息が苦しくなって開けた口から舌が割り込んでくる。
「ん、…!」
「毎日これがいいか?」
離れていくミホークの顔。余裕という二文字が似合っていた。息はまったく乱れてない。
「毎日したらおかしくなっちゃう」
「では毎日こうしよう」
「だ、駄目!」
駄目だ、完全にからかわれてる。
「冗談だ」
ミホークはもう一度布団に潜った。
「もう一眠りする」
「また寝るの?」
ちゅーする悪魔
(…キス魔だからな)(理由になってな〜い!)(お前もだ)(きゃっ!)
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