only you

□03 今も昔も
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ローside 番外編





特に目立った女でもなかった。
ただ街中で、バイト先を探しまわってる小さいガキを見つけただけだった。
大変そうだな、と憐れみながら。

ここからは、ミーコに聞いた話。

あいつは親がいなかった。昔々に養子だったミーコが、赤ん坊のあいつを拾って、それからその家に住み始めたって話だ。だからあいつは、親の顔なんて知らない。自分が養子だってことは知ってるらしいが。そして、あいつがでっかくなったころ、




――親が突然消えた。多額の遺産とボロボロの家を残して。




ミーコが言うには、金にまだ余裕はあったらしいが、あいつは言うことを聞かなかったそうだ。バイト先でことごとく断られても必死にバイトを探してて、ミーコが働きに出ている間も、新聞配り、パン屋のフロント業務、菓子屋のバイト、と色々していたらしい(職業選択はあいつらしいと思う)。

それから、俺と出会った。



最初は、俺と海へ出ることに後悔しているようだった。男だらけだったんだから仕方ないだろう。ミーコも「何であの子を誘ったの?」と言っていたし、島に戻してやろうかとも考えた。



けど、今は。



「キャプテン!今日のグラタン、とっても美味しかったです!」
「…他のヤツに言え」
「いいじゃないですか、たまには」



俺を認めてくれて、キャプテンと慕ってくれて。


「分かった。もう寝ろ」
「ふぎゃっ」


こいつを船に乗せて、よかった。


「何だその声」


女らしくないな。そう言うと、むすっとした顔で枕を投げられた。





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