戦場の愛

□飛び出したあとには…
1ページ/9ページ



「ロックオン!」


食堂から部屋までずっと手を握られていた。


「ロックオン!放せ、手がっ…」


ロックオンは一回り以上大きい手で、刹那の手を力強く握っていた。
これ以上力を込めると折れてしまいそうだ。


「えっ!?わ、悪い……手、痛かったよなι」


慌てて手をはなすロックオン。手をはなしたあとは、紅く跡が残っていた。その跡を擦りながら、刹那はロックオンに目を向けた。


「いや……放してくれれば平気だ。それより、どうしたんだ?」


いきなり食堂を飛び出すなんて……いつものロックオンらしくない。


「いや、あの、ちょっと……」

はっきりしない物言い。外される視線。こんなとき人は決まって何かを誤魔化す。


「来い…」


今度は刹那がロックオンの手を引いて歩き出す。


「せ、刹那?」

「オレの部屋……」


とりあえず行き先だけを告げる。その後ろでロックオンは何も言わずについてくる。刹那には彼の戸惑いが伝わって来る。けど、そんなことは無視して部屋にむかった。こんな時のロックオンは、何を聞いても結局はぐらかしてしまう。ヘタをすると黙り込んでしまう。今は黙って欲しくないのだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ