戦場の愛
□飛び出したあとには…
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「ロックオン!」
食堂から部屋までずっと手を握られていた。
「ロックオン!放せ、手がっ…」
ロックオンは一回り以上大きい手で、刹那の手を力強く握っていた。
これ以上力を込めると折れてしまいそうだ。
「えっ!?わ、悪い……手、痛かったよなι」
慌てて手をはなすロックオン。手をはなしたあとは、紅く跡が残っていた。その跡を擦りながら、刹那はロックオンに目を向けた。
「いや……放してくれれば平気だ。それより、どうしたんだ?」
いきなり食堂を飛び出すなんて……いつものロックオンらしくない。
「いや、あの、ちょっと……」
はっきりしない物言い。外される視線。こんなとき人は決まって何かを誤魔化す。
「来い…」
今度は刹那がロックオンの手を引いて歩き出す。
「せ、刹那?」
「オレの部屋……」
とりあえず行き先だけを告げる。その後ろでロックオンは何も言わずについてくる。刹那には彼の戸惑いが伝わって来る。けど、そんなことは無視して部屋にむかった。こんな時のロックオンは、何を聞いても結局はぐらかしてしまう。ヘタをすると黙り込んでしまう。今は黙って欲しくないのだ。