Hold me.Thril me.Kill me.

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リゾットはある人物の経歴を調べていた。
地元で有名な不良グループにいた女の事だ。
ガキが好きな子の名前を
辞書で調べたりするのとはわけが違って、
必要事項の一つで調べていた。


2月に市内の病院にいた記録が発見された。
医師の名前はリドリー。

適当な診断結果から、
”見捨てられた事”を確認した。
それをプリントアウトして、
暗いリゾットの部屋の隅に投げつけた。
そこで人影が動く。

華奢で、小柄な体躯から、
”女”だと言うことがわかる。

リゾットは、回転椅子をくるりと回し、
女の方へ話しかけた。



「それが、”お前の死亡診断書”だ。」


女は長いストレートの黒髪を振り乱し、
目を白黒させながら、
パソコンの光が届く所へやってきて、
大声を上げた。

「う、嘘だろォォ?!
嘘だ嘘だ!信じてたまるかッ」

その声は、アパート内にいた
ほぼ全員に聞こえていた。



数日前、暗殺チームに配属された者がいた。
リタと名乗る女だ。
一見すると、長くストレートな黒髪や、
アジアを思わせる漆黒の瞳は
大人しい令嬢だが、性格は真逆もいい所。

粗暴で、口調が荒く、よく言えば素直、
悪く言えば容赦のない女だった。


しかも、サイコなのは
この体は自分の体じゃない、
なんていう所だ。


これには、暗殺チームメンバーも、
皆途方にくれた。

美人なのに、もったいない。

その言葉だけで、
難攻不落なイメージを与えさせられた。


女だし、口先だけだろう。
そうメンバーが思っていると、2日後には
任務をこなし、Sクラスの見事な成績を
リゾットから奪い去っていったのだ。

見た目とは裏腹なその身のこなし。
万人が何故ときけば、
彼女は再度こう答えた。



「だから言ったろ。
これは”友達”の体なんだ。

私とは、性格も、育った環境も
全然違う、友達の。」


それに、親衛隊の2トップ、
ティッツアーノ、スクアーロと
なぜか仲がよい。

誰もが首を傾げてしまうような、
人間だった。



配属されてきた時の、
上からの命令もおかしかった。

彼女が何者かに殺された時、
または殺されかけた時は
いかなるときでも助けろ、だと。

リゾットは、リーダーとして、
優遇のされ具合に
いささかボスへの疑いを増した。


だが、わからなくもない。

今のメンバーで何年か
変わらずにやっているせいか
妙に仲間意識の強くなったチームの中に、
すんなりと入り込んできた。

そんな、小さな能力の持ち主なんだから。






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