砂糖漬けエトワス

□常温で溶かしておきます。
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「そりゃ、よかったなー」

サーレーは目を丸くしながらも、
にかっと笑って答えた。

俺はよかったんだろうか、と思いつつも
ありがとうと返した。

サーレーは俺の同居人というやつだ。
貧乏学生がそうするように、俺らも
家賃を二人でわけて払っている。

サーレーは学生ではないが、昼はいつも忙しく
夕方ごろに帰るから、俺と時間が合って、
元は他人だったが互いに
仲のいい親友として過ごしている。


「けど、お前って意外に度胸あるよなー」

「なんだろうな。
緊張はするんだけど、決めたらすぐ
やりたいタイプなんだよな」


「あーいるいる。そーいうやつ。」


サーレーは新聞をテーブルの上において、
うん、と唸って伸びをした。


「今日約束してるんだろ。
そろそろ行ってこいよ」

「あーもうそんな時間か。」

「そうだぞー。女の子待たせるなよ!」

「そうだな。あ、鍵。」

「はいよ。俺今日家いるから
お持ち帰りはだめだぞー」


「実際問題、そこまで仲良くないからな」


適当にカバンをもって、玄関を出た。
冷たい風が、頬に当たった瞬間、
ふと、買うとお菓子が付いてくる電化製品ってなーんださんの事を思い出した。


遅れたら、きっと寒い中
待つ事になるんだろう。

そう考えたら、いつの間にか
俺は急いで歩いていた。
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