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□シュガーパウダー
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分かっている。

目の前で楽しそうにしている篠崎こと悪魔様から逃げられない事くらい。


「どーしたのはるちゃん、浮かない顔しちゃって。」


分かっている。
その心底不思議です。という表情に隠された真意くらい。
大方 いい加減腹くくんなよ☆位のノリだろう。


「、別に…。」


諦めたように呟けば満面の笑み。
人気のない裏庭の更に奥、中庭とはちょっと趣を変えたテイストのそこで俺はひっそりと溜め息をついた。
伸び気味の芝生に生き生きと繁る雑草。あぁ、たんぽぽがなんて眩しいんだろう。
人の手の入った美しい庭の奥に密かに存在する自然。なんとなくほっとする場所。

…なんでそんな場所にこのメンバーで来なければならなかったのか甚だ疑問だ。いや、分かってはいるが分かりたくない。


「嗚呼…春の木漏れ日の下、美しい庭園を抜けた秘密の花園で戯れるお二人…ッ!!」

「静かで穏やかな時間を共にする美しい二人の図…あ、鼻から血がッ!!」


またもやこの二人の部長により台無しだ。
静かで穏やかな時間とやらは鼻血を流しながら泣いている写真部部長のせいで儚く消え去り、一人で興奮している広報新聞部部長は小道に沿って植えられている低木に無意味にぶつかっている。頭は大丈夫なのか?


「…さっさと撮ってください。」


写真部部長にティッシュを差し出し、上を向いている彼の頭を下に向けてやる。
…飲んで悪いものではないが美味しいものでもないしね。


「ネコミミ最高ッッ!!!!」


余計鼻血を吹いて倒れた彼に呆然とする。
この間といい今日といい、悉く人の親切を無駄にする男だ。


「んー、まさに踏んだり蹴ったり?」


篠崎の言葉に殊勝に頷いてから今回のコスプレを頭から外した。
こんなもの付けて裏庭まで来たというのに肝心の写真部部長は鼻血による貧血でダウン。

新しく部員を呼んでくれるそうだが有り難くもなんともない。

泣きたい。


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