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照れ臭いような、あの告白から1週間。
なんと無く気まずくて翠に会いに行けていない。多分翠の耳にもこの事の一部始終は入っていると思うが、向こうからも何か言ってくる気配もない。

お互いに気まずいのは一緒。

ぐるぐると頭を回る思考は重苦しい溜め息に変わって体外に融け出した。


「何かあったの?」


首をかしげて聞いてくる篠崎に苦笑いを返す。
今は生徒会室に篠崎と二人きり。
他の役員は生徒会顧問の所や風紀委員室などに出払っている。
理由は言わずもがな、永城。

あの日を境に変装をやめた彼は未だに緋月…冬哉に猛烈アプローチ中である。
一端親衛隊が出来るような動きはあったものの、元の性格が露見した外見よりも敬遠された為に結成には至っていない。

しかも、役付きで親衛隊持ちだった俺には何の影響も無かったが、一向に諦める様子のない永城に遂に緋月の親衛隊の怒り爆発し、事態は最悪も良いところであった。

問題が立て続けに起こって、学園や寮内の風紀も乱れてきている。


次々と壊される備品に軽くキレつつ、竹内と湊は生徒会顧問にどうにかして経費をおとしてもらえるように交渉中で、支倉と久我は風紀の手伝いで緋月は永倉と話し合い中だ。


「なんだかねぇ…。」


残った二人で生徒会の仕事をこなしていると、広い室内に篠崎の声が響く。


「せっかく冬哉とはるちゃんがくっついて僕としてはイジリ倒して楽しむつもりだったのに…。」


とことん邪魔してくれるよねぇ、永城くんって。怪しい笑顔で書類を見ている篠崎。
騒ぎを起こされるのは心底嫌だが篠崎の野望を阻止してくれた事には感謝する。

ありがとう、永城。

そう思って目線をパソコンから外せば、そのタイミングで荒々しく扉が開いた。
揃ってそちらを見れば、竹内と目があった。


「あ、遅くなりました。お疲れさまです、篠崎先輩、瀬戸先輩。」


相変わらず穏やかに微笑んでいるが、こめかみが不自然に引き吊っている。
そんな竹内の後ろでは湊が疲れた表情で溜め息をついた。


「お疲れー。どうだった?」


篠崎が椅子を回しながら竹内に問えばスッと表情が陰った。


「話になりませんでしたよ。明日は理事長に直談判してきます。」


真っ黒い篠崎顔負けの笑顔で言い切った竹内。
相当苛々しているらしい。


「出来るかなー…?」

「アポは取ってきました。…買い替える経費は絶対に出させます。」

「生徒会も風紀も、これ以上削ったらコピーも危うくなるからね…。」


たった1週間で大金を消費してくれた永城。こんなにギリギリになるくらい沢山のモノを壊してくれる永城に不満は募る。
しかも狙ったように希少なものばかりをダメにする。
最悪だ。


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