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【奪うならば身勝手な恋を】
生徒会役員が全員揃ってから半年が過ぎた。
危なげ無く最高学年に進級した俺達に、高校最後の年が始まる。
そして3年の先輩との最後の仕事であった文化祭を乗り越え、クリスマスパーティーがダンスホールの老朽化による修築工事で中止となった為に今期の生徒会の初仕事は新学期にまでずれ込んでいた。
新学期 新入生歓迎会
それは恒例行事であり、生徒会企画てんこ盛りの一年で一番大変な行事だ。
入学式から3日後に予定されていて、一泊二日の宿泊がセオリーだ。
「無くていい。」
苛立ちを滲ませたまま、隣を歩く奈緒がそんな台詞を吐き捨てた。
放課後、俺は生徒会室、奈緒は風紀委員室に向かいながらお互い新入生歓迎会の準備やらに追われて少々窶れ気味である。
しかも奈緒なんかちゃっかり風紀副委員長だし。
「イライラしてるね、奈緒。」
そんな事ねぇよ。とか言いつつ眉間に皺寄ってるし舌打ちするし、説得力は無い。
まぁ、部屋割りはランダムにPCに選んでもらう事になってはいるがマチガイが起こらず、皆が楽しい新歓にするためには裏工作は必要不可欠で…。
絶対に同室にしてはいけない生徒の選出は風紀に一任してある。
全校生徒分も確認した後に、PC入力までして更に見回りのコースまで打ち合わせしなければならないとあって奈緒も夜遅くまで大変そうだ。
「じゃあ、頑張ってね。」
言葉は無しにヒラヒラと手を振る奈緒。
俺も頑張らなくては。
そう思い、もう一階上にある生徒会室へと向かうのだった。
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