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【不完全、だからしい】







「スゲーな、親衛隊。」

「ね。…つか奈緒もあるだろ、親衛隊。」



昨日、本人の意思丸無視で決定された親衛隊の許可のお陰か俺の下駄箱はキレイサッパリ。
善悪入り乱れた手紙なんて一通も入っていなかった。

その前に奈緒。
自分だって親衛隊いる癖にその言い方はなんだ。
というか、役職に就いてないのに人気ってどういう事だ。俺なんて確実に『会長補佐』の相乗効果ってヤツだぞ。
平凡が急に目立ったから あーゆうタイプ珍しい〜 みたいな好奇心のピーク来ちゃったパターンだそ。

じっとりと奈緒を睨んでみると頭を掻きながら面倒臭気にポツリと言葉を漏らした。



「俺は興味無いから放置だし。
活動内容もノータッチだからな。」



それってどうなんだ奈緒。
確かに奈緒位格好良かったら下心丸出しな輩が多くてヤになっちゃうのかもしれないが、少なからずお前に好意を持ってるわけなんだからノータッチは…良心が責めるだろ。

と思ったが、まさか本人に言うわけ無い。
特に先日の翠非常識事件があるから下手なことを言うと薮蛇だから慎重に会話をしなくては。



「へぇ…でも昨日の今日だし、やっぱり凄いよ。親衛隊って。」



上手く誤魔化して会話を続ける。

申請者には事前報告とかいって昨日の内に篠崎がパソコンでメールを送っていたからそのせいもあるんだろうけど、相手が手紙を入れるタイミングとか俺の登校時間とか色々あるのに。クオリティー高いな。

つか、あんな膨大な量の申請書の中から適任者を推薦済みな辺り、やっぱり俺の意思なんか関係無かったんだろうな、多分。



「……最初はな。」



色々と考えながら歩いていたせいか、俺は小さく呟いた奈緒の台詞を聞くことは出来なかった。


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