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□恋という名の侵略者
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目が覚めたら、部屋は真っ暗で何も見えなかった。
シーンと静まり返った空気から察するに、きっと夜中なんだろう。
なんとなくダルさを感じながらフローリングに足を下ろせば冷たくて心地好い。
発熱した後みたいに汗ばむ身体を引きずりながら部屋を出て台所を目指す。
いくらモヤモヤしていようと、クソムカつく野郎にイかされた後だろうと腹は減る。
だって健全な(…いや、健全ではないかもしれないけど)男子高校生だから。
食べ盛りの育ち盛りだから。
なるべく音を立てないように階段を降りる。
ぺたぺたと間抜けな足音で笑えるが気にしないでもらいたい。
こんなに汗ばんでベタベタなのはアイツのせいだから。
あー。思い出しても腹立つ!
適当に菓子パンを手にとり、部屋に戻るべく台所を後にする。
美味しいよね、チョコチップメロンパン。
部屋に入り、いつもは座るのを拒む勉強机の椅子に座れば、自然と目に入るアイツ用の椅子。
蹴り飛ばしたい衝動を抑えて八つ当たり気味に菓子パンの包装を破る。
今は夜中だ、落ち着け自分。
椅子を蹴ったって何も良いこと無いからな。
痛いだけだぞ、自分の足が。
自分で自分を宥めすかして苛々をやり込める。
あぁ、折角のチョコチップメロンパンの味が苛々し過ぎて良く分かんなかった!
これもそれも全部アイツのせいだ。
やっぱりさ。
俺アイツ好きじゃないわ。
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