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□たとえば君が僕を愛すとして
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「こんにちは、瑞稀。」

「……こんにちは。」


なんで今日もコイツは居るんだろう。


「ちょっと瑞稀。あんた愛想悪いわよ。…一体誰に似たのかしら。」


無表情でアイツに紅茶を出す母親に言ってやりたい。確実にあなた似だと。

母さん似で得したのは『綺麗なお顔』だけでこの無愛想(…いや、俺のは人見知りに近い。しかもこれは父親譲り。)で得した事は今まで一度もない。


「…部屋に行くわ。」


部屋の空気が俺もこの場に留まる感じだったから一応一言言ってからリビングを出る。

俺がいくら穏やかな人間だと言っても(誰も言ってない。)あんな嫌がらせをされた人間と談笑出来るほど心は広くない。


「じゃあ俺も。」

「は…?」

「ごめんなさいね、来て早々。」

「いえ、御構い無く。」


和やかに言葉を交わす二人は俺の話を聞いてない。


「ほら、行くぞ。」

「は、え…!?」


いきなり手を引かれれば背を走る嫌悪感。
やばい。
ゾクゾクした。てかしてる。

そのゾクゾクは興奮の部類じゃなくて、風邪引いたときみたいな寒気。


「ほら、」

「う、わっ!」


なんなんだ コイツは。

当たり前の様にうちにいて、当たり前の様にリビングに座ってて、当たり前の様に俺の部屋を開ける。
その前に何故俺の部屋を知ってる?

つうかそれ以前にマジで誰だ?






もう二度と会わないと自己完結して曖昧にした昨日の出来事が脳裏を過る。

現在、自室にて二人きり。


これは…

やばい?


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