テガミバチ

□好きだよ(ザジラグ)
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コナーから聞いていた待ち合わせ場所に急ぐ。
日が沈みかけた空には星が輝き出そうとしていた。


「(ラグっ!!間に合ってくれ…!!)」


もちろんソイツの告白に応じるとは思わない。
きっと断る。
わかってるハズなのに。

ただラグが他のヤツの事を考えてるだけで
苦しくて、
辛くて、
淋しかった。

オレの知っているラグが
オレの知らないラグになっていく気がして
怖かった。

でもラグ、
オレは気付いたんだ。


抑えていた想いが溢れ出す。


―――行かせたくない!―――


その一心で懸命に走った。





待ち合わせ場所に近づくと
見慣れた後姿が目に入った。


「ラグーーーっ!!!」

「!!ザジ?!どうして?!」


息を切らしラグへ駆け寄る。
ラグは予想外のザジの登場に驚きを隠せない。


「ラグ」


呼吸を整え真っ直ぐに向かい合う。

ザジの瞳がラグを捕らえる。


「オレは、ラグが好きだ。」

「!ザジ………」

「オレが守るから。
何があっても絶対にラグのこと守るから。

だから、オレの側にいろよ。」


例えラグが離れていこうと
もうこれ以上自分の気持ちを隠せない。
どんな結果になったとしてもこれだけは今伝えたい。


ザジはラグを抱き寄せ、目を閉じた。


でも伝えてしまえば最後。
もう今までのようにはなれない。

こうやってラグの温もりを感じられるのも最後かな。
友達でいられるのも最後かな。


されるがままに腕の中に納まるラグを想い、
胸が苦しかった。


ラグは優しいから、
オレの気持ちを汲んで、
こうしてくれているだけなんだ。


ザジは一呼吸してラグから離れた。
ラグはあの時のように目の端に涙を溜めていた。
胸がチクリと痛む。


「ラグ、ほんとに悪かったな。
いつも困らせて、泣かせて…。」


「…好きだよ。」


ザジは予想外の言葉に耳を疑う。


「僕もザジが……好きだよ…。」


濡れた瞳でまっすぐにザジを見据える。


「僕だってそうだよ?
ザジのこと考えるとドキドキして…
もっとザジのこと知りたいって
一緒にいたいって思って…」


ラグの大きな瞳から涙が零れだす。


「ラグ…」

「だから、ザジ…
ずっと、側にいて。」


涙でグシャグシャになった顔で
ラグも精一杯の想いを伝える。


「ラグ………マジで?!」

「!!
ほ、ホントだよぉ。」


急に間の抜けた返答にラグは焦る。
その様子にザジはラグの言葉が本心であったことを
やっと理解できたようだった。


「い、いや、オレはてっきり……。」

「??」

「…避けられてると思って…。」

「避けるなんて…。
ザジのこと、考えすぎたからかな…。」


ラグの言葉に思わず顔が熱くなる。
その顔を誤魔化すように
もう一度抱きしめる。
強く優しく。


「夢みてぇ…」


人を好きになるのって
こんなに苦しくて
こんなに切なくて

でもココロはこんなにも満たされるんだ。


ザジは空を見上げる。
いつもは見慣れた空なのに
今日はいつもより輝いて見える。

満点の星の下、ザジは誓う。



―――何があっても
絶対ラグを離さない―――





***Fin***







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次ページはあとがき+おまけです!
よかったら見ていってください♪
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