テガミバチ

□キスをしようよ(ザジラグ)
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「なぁ、ラグ。」

「ん?どーしたの?」

「…キス、しよーぜ。」

「………………。」

「………………。」

「………あ!!
そう言えばコナーに呼ばれてるんだった!」


こうやって誤魔化されたのは何回目だろうか。

ザジは足早に去って行くラグの後姿を見ながら、深い溜息を吐いた。


ザジの想いが通じて数日。
ココロが満たされていく毎日だった。

2人で一緒に帰ったり
食事したり
他愛のない話で盛り上がったり


「(…って今までと変わんねーじゃん!!)」


改めて思い返し
更に深い溜息を吐く。

ザジだって健全な男の子。
好きな人とキスの一つもしたい訳で。

しかし肝心な時にはどうも避けられている。
これまで何度も試してみたがその度に
『シルベットから早く帰って来てって言われてるんだった!』だとか、
『テガミの仕分け手伝う約束してた!』だとか、
『ステーキのブラッシングしなきゃ!』だとか、
終いにはよくわからない理由を付けて逃げられている。

始めは照れてるだけだと思ったが、
それが毎回とくるとさすがにココロが折れてくる。


「(もしかしてオレの愛情が伝わってない…?)」


悩みに悩んで出た答えはこれが精一杯。
勝手に解釈したザジは
折れかけたココロを立て直し、
ラグの後を追いかけた。
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