テガミバチ

□好きだよ(ザジラグ)
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日に日に募る想いに
ザジは焦りを感じていた。


ザジの想いとは裏腹に
何をやっても空回り。
普通に接しようと思うほど
ラグが遠くなっていく気がする。

それならばいっそ距離を置いた方がいいのかもしれない。

そうわかってはいても
気持ちが止まらない。


答えの出ない想いがザジを苦しめていた。







そんなある日
ザジにとっては衝撃的な出来事を耳にすることになる。



「こ、告白されたぁぁぁ!!!???」


配達を終え一緒に休憩をとっていたコナーは
ザジの反応に思わず口にしていたミルクティーを噴き出す。


「ゴホッゴホ……
ザ、ザジ!声がデカい!!」

「あ…。」


ザジを落ち着かせると
コナーは再びミルクティーを口へ運ぶ。
ザジは気を取り直してコナーへ聞き直してみた。


「どーゆーことだよ?!」

「うん、昨日ラグが相談してきたんだ。
配達の帰りに急に声をかけられて、
テガミをもらったんだって。
内容は『好きだから、付き合ってほしい』って。」

「あ、相手は?!」

「それがハッキリわかんなくて。
BEEの制服は着てたみたいだけど、
ラグは知らないってさ。」

「マジかよ…。」


ザジは頭の中で思い当たりそうな人物を探してみる。

しかし最近は自分自身のことでいっぱいで
ラグの周りのことまで気が回っていなかった。

しかしそうだとしてもラグがよく知らないヤツの誘いにのるなんてありえない。


でもこの胸のざわつきは何だ……?



「ザジ、その告白の返事、
今日するみたいだよ?」

「今日?!」

「テガミに書かれてたみたいなんだ。」


昨日の今日って…
焦りすぎだろ、ソイツ。

そう思いながらもそれ以上にザジ自身が焦っていた。


「…行かせていいの?」

「!!」

「僕はザジには後悔してほしくないよ。」

「コナー……。」


コナーの真剣な眼差しが
全てを見透かしているようだった。


ザジは一呼吸し目を閉じる。

本当はわかってる。
考えればすごく単純なことくらい。

いつだってすぐに浮かぶのはラグのこと。
いつだって側にいてほしいのはラグのこと。
例え独り善がりでも
今のオレがやるべきことは―――。



ザジは拳を固く握ると立ち上がった。


「オレ、行ってくる!!」


ザジは一心にラグの元へと走った。



―――ラグ、オレは決めた!!!
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