テガミバチ

□ココロの音(ザジラグ)
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最近のザジのラグに対する態度はヒドイものだった。

あいさつすれば無視され、
偶然会えば逃げられ、
挙句の果てに目も合わせてもらえない時すらあった。

「僕、何か悪いことしたかな…。」

―あからさまに避けられている―

ラグはこれまでのザジとの事を思い出すが、
これといって思い当たるものがない。
強いて言えば、この前ザジが『自分のことをどう思うか』と聞かれた時に、
上手く答えられなかったくらいで。

こんな状態で平気でいられるほどラグは大人でもないし、
何より原因がわからないことが一番不安だった。

普通に呼び出してもザジは絶対来ない。
ラグはコナーになりすまして、ザジを呼び出すことにした。





「なんだよ、コナー!
倉庫になんか呼び出しやがって!!」

乱暴に扉が開くと、時間丁度にザジが指定された倉庫へ現れた。

「おい、コナー?!」

「ザジ…」

前もって隠れていたラグが顔を出す。

「げっ!!ラグ!?」

一瞬で顔色が変わったザジは、思わず逃げ出そうとする。
ラグは慌ててザジの元へ走り、腕を掴んだ。

「待ってザジ!」

「何だよっ、離せよ!!
ラグてめぇ、騙しやがったな?!」

「どうして僕のこと避けるの?!
何か悪いことした?!
このままザジに無視されるなんて嫌だよ!!」

腕を振り払おうとするザジに負けじと勢いよく詰め寄る。
ザジはラグの勢いに押され、たじろいでしまう。

「何か気に障るようなことしたのなら謝るから!
理由もわからないのに、ザジに嫌われるのは納得できないよ!」

「ラグ…」

「ずっとこんな風でいるのは嫌だよ?!
悪いとこがあるなら言って?!」

途端ザジはラグの腕を引き寄せ、やさしく抱きしめる。

「ザッ、ザジっっっ?!!!!」

ラグは突然のことに戸惑うばかりで、
状況を理解できずにいた。

「ザジ?!何っ?!!
イキナリどうし――――」

「わかるだろ?」

「えっ?!」

「オレの心臓の音…。
ドキドキいってんの…。」

抱き寄せられたラグの耳には、
ザジの高鳴る心臓の音が強く響く。

「…うん。」

「…最近ずっと、ラグといるとこうなるんだ…。」

いつもより落ち着いた口調に、
ラグの心臓も高鳴る。
ラグはザジの胸元に顔を埋めたまま、
顔を見れずにいた。

「ラグと話すだけで、
ラグを見るだけで、
ラグのこと考えるだけでドキドキして…。
オレこーゆーのどーしたらいいかわかんなくて…。
ラグから離れれば治まるんだって思ってた…。
でも……。」

何かを言いかけたままザジはラグから離れ、
背を向け扉へ手をかけた。

「悪かったな、ラグ。
これからはもう普通にするから。」

どこか淋しげな背中を見送り、
ラグはただ動けずにいた。










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