テガミバチ

□恋は嵐(ザジラグ)
1ページ/2ページ

―はじめはもっと単純で
ただ
ただ
同じ空気を感じたいだけだった―


「ザジ、どうしたの?」

「…ん!?」

いつもとは違う固い表情にラグが思わず声をかける。

「なんでもねーよ」



―ラグをひとつ知る度に
もっと知りたくなる
もっと知ってほしくなる―



「…ラグはさぁ…」

きょとんとした大きな瞳が見つめ返してくる。

「オレのことどう思ってる?」
「へっっ?!!」

大きな瞳をさらに広げ、驚いた表情を見せるラグ。
途端に我に返ったのか、ザジは急に恥ずかしくなってしまった。

「どうって、ザジのことす――――」
「バァーーカ!!真面目に答えてんじゃねーよ!!!」

ラグの頭を押さえ込み、からかうように髪をくしゃくしゃにする。
真っ赤になった顔を隠すのに、ザジは必死だった。

「ひ、ひどいよ〜、ザジが落ち込んでると思って心配したのに!!」

ラグは少しムッとした顔で、だけどどこか安心した声で必死に抵抗する。

「ははっ、ほんと、なんでもねぇよ」

ラグを解放すると、すぐさま背中を向ける。
気まずい空気に耐えられず、思わず走り出してしまった。

「ザジーー?!やっぱり変だよーーー!!!」

遠くで叫ぶラグを振り返らず、ザジはその場を全速力で離れたのだった。




ザジは先程の言動をひどく後悔していた。
気がつけば、町外れの原っぱまで走っていた。


「(オレは…何やってんだ!?
まるでラグのことが気になってるみたいじゃねーか。
なんか、ひとりでバカみてぇ…)」

思わず空を仰ぐ。
火照った体を冷やすように、そのまま草の上に大の字に倒れこんだ。

「はぁ〜〜〜〜〜〜、だっせぇ……」


それでもザジは確信していた。
自分の中に芽生えている感情に。


―そっか

―オレはラグが



―好きなんだ―――










☆−★−☆−★−☆−★−☆−★
次ページはあとがきです。
よかったら見ていってください♪
☆−★−☆−★−☆−★−☆−★
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ