本
□06受
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大学時代。
あれだけ華奢だった腕が、今は二つの花束を悠々と抱えれるほど太く、逞しい。
一塁の近くで新井と拍手をしながらそう思う。
2000本達成。
もちろん彼にとっては通過点であり、まだまだ先を目指せる可能性は十分ある。
もし、そうなったとしたら、そうなったとしても。
その時にはもう、俺は傍に、隣にいないかもしれない。
「矢野ぷー」
チェンジ、交代。
塁上から戻ってきた彼が、試合中なのに珍しくそのあだ名を呼んだ。
「なに、」
「その、ッ・・・ありがとうな」
顔が赤い。
それが試合での興奮のせいなのか。普段言うことのない礼への照れからなのか。
分からない、分からないけど。
浮かんだ笑顔は、あの時と変わらずに。
その声も、あの時と変わらないまま。
「おめでとう、かなもっちゃん」
そっと隠れて手を握りながら、ささやかな祝福。
本当に、本当に。
おめでとう。
END
あにきおめでとう一発目。
やのさんキャラ違うなぁ(いつもと
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