□06受
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My Life(24→←06)






俺の生活の一部。
もう、それだけ大事な存在ってことやね。
近くにおらんとアカン人。
でもきっと、かねもっちゃんは気付いてないやろうな。

あぁ見えて、ニブチンやし。



いるのが、当たり前。
むしろおらんのが、おかしいぐらいじゃな。
一緒におって、おもろい奴。
多分アイツも、ひーやんもそう思っとるに決まってる。

一度は身体を繋げたといっても、それ以上もそれ以下もない。この、関係。




それなのに、また、こうして、同じチームにいて。
再び、身体を繋げている。
二人とも、好きだ、とも。愛してる、とも伝えていないのに。

「ンっ、ぁ・・・!」
「は、ッう・・・」

遠征先のホテル。
どちらかがしようと言ったわけでもない。
時には桧山が金本の部屋を訪ね、また逆も然り。

「かねもっちゃん、」
「・・なん、じゃ」
「僕らのこの関係、遡れば長いよな」

哀しげな瞳が、見下ろす。
ぼーっとする頭、それなのに過去は鮮明に甦る。




全ては、大学の全日本でのメンバーに選ばれたことから始まった。
部屋割り、二人一組の同室の相手。
それが、ひーやんだった。

かねもっちゃんは、しょうもない悪戯ばっかやってた。
特に鳥越をよく苛めてたなぁ。(今の藤本みたいに)
でも、練習はちゃんとする人やったし、ウェートなんて尊敬の意で見つめてたわ。

練習はしんどいのが当たり前じゃ、でもたまには息抜きもしたい。
鳥越苛めもおもろいけど、ちょうど飽きてきた頃やったか。
わしの興味本位の一言が、それまでの関係を踏み越えてしまった。


『ひーやん、男同士でヤろうと思えばヤれるんじゃと』
『何の話やさ、それ。変なことばっか覚えて』
『興味ないか?』
『えー・・・?まぁそりゃ、ちょっとは・・・なぁ?』

二人して、にやりと笑ったのはいいが、そこから先が問題だった。

『で、どっちが女役にまわる?』
『そんなん、言い出しっぺのかねもっちゃんやろ』
『何でじゃ!わしが下なんて考えられんぞ!!』
『僕も掘られるの嫌やもん』
『うだうだ言ってんと、ここは正々堂々じゃんけんじゃ!!』


結局、かねもっちゃんが見事敗北。
僕もめっちゃ戸惑って、女の子抱くようにして優しくしたけど・・・。
これが思いのほか、よくて・・・。
しかも、かねもっちゃんのあんな声聞いたら・・・絶対下にすべきやと思った。

ひーやんとは、あれから何度も身体を繋げた。
けども、わしが上になることはなかった。
最初は文句言うけど、何だかんだで丸め込まれて終わってしまう。


思い出してみれば、やっぱりあの言葉はどこにも使われていなかった。


「好き。」
そう言ったひーやんが、笑っておった。
こいつの口から初めて聞いた、その言葉。

「愛してる。」
お返しの言葉なのか、かねもっちゃんの口から好きの特大級。
けらけらと笑って、ホンマ悪戯っ子や。


本当は二人とも、この感情に気付いていた。
ただ今更ということと、ただ単に言葉にできなかっただけであって。
想いはあの年、あの日から。


ずっと繋がったまま──。



END
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