短編小説2
□夢も記憶も(TRICK)
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「……、………」
「〜〜…、………。………っ」
「……〜〜。………」
「………………。」
「――、………〜〜!」
「―――――っ!!」
声にならない声をあげて奈緒子は飛び起きた。こんなに激しい朝は久々である。
「あーーー…驚いた…」
そこでふと思う。私はなんで驚いたんだろう。
記憶を必死に手繰り寄せてみても、ついさっきのことが思い出せない。
まぁ夢なんてたいていこんなものだけど。
まだ頭がボーッとしてる。
記憶喪失ってこんなんなのかな
なんかちょっと怖いなぁ
さっきの夢、思い出せないかな
だめだ思い出せないや
………でも、
思い出せなくても、あいつの夢だったら良いな
思い出せなくても、あいつをまた好きになれたら良いな
そんなこと考えてしまうのは、まだ頭がボーッとしてるからに決まってる。