短編小説

□オータムジャンボ(TRICK)
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季節が変わって一枚、宝くじをもらった。



「季節的にはオータムジャンボか…」
「なんだ宝くじでも買ったのか貧乏人」
ひとりごとのつもりだったささやきに返答がかえってきた。ご丁寧にオマケまでついて。
「貧乏人は余計だ」
「事実だろ」
「余計なお世話、だ!」
「貧乏って認めたな貧乏人」
吹き込む風と同じくらい心地よいラリー。この調子じゃくじは当たりそうにない。
だったらこんなもの飛ばされちゃえばいいのに。そうすれば期待も失望もしなくて済むから。けれど、ひと季節に約一枚、宝くじはやってくる。
だから早く飛ばされちゃえって、そうすれば期待も失望も……………あーもー嘘ですごめんなさい。

当たるかはずれるか待ってるのも、まぁまぁ楽しいですよ






くじの当選日は、村へ連れ去られてからアパートへ帰されるまでの間。

当たれ、当たれ、今回こそは。

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